皇居のお濠浄化作戦、“雨頼み”脱却なるか…環境省 | 勝手にニュース

皇居のお濠浄化作戦、“雨頼み”脱却なるか…環境省

皇居のお濠(ほり)(皇居外苑濠)の本格的な水質再生プロジェクトに、環境省が乗り出した。
 地下水などを濠に引き込んで水の循環を復活させ、都心のヒートアイランド対策にもつなげようという試み。外国人観光客も数多く訪れる皇居。その水環境はよみがえるのか――。

 今年6月からはアオコ対策を強化した。アオコは水質の富栄養化で植物プランクトンが異常増殖し、悪臭とともに水面が緑色に濁る状態を指す。環境省は発生度を5段階に分け、職員が毎日巡視して高い発生度になるたびにポンプで除去している。その結果、今月までに3万6000リットルのアオコを取り除き、毎夏寄せられていた「くさい」「汚い」などという苦情はなくなった。

 しかし、お濠の水質悪化は外部からの水供給がストップしていることが根本原因だ。かつては江戸時代に作られた上水道・玉川上水から水が流れ込んでいたが、1965年に淀橋浄水場(新宿区)が閉鎖されて水の供給が停止し、皇居とお濠に降る限られた雨水のみに頼る水質は年々悪化している。

 抜本的な水質改善には、外部から水を入れて水流をよみがえらせる方法が有力で、8月には水質の専門家や宮内庁を交えた検討会を設置。一帯の地下水や、周辺ビルで一度使用した上水の導入を実現するため、国土交通省や民間企業に打診を始めた。

 一方、昨年夏の調査で、夜間も熱帯夜の最低気温より高い28度から下がらないことが多いお濠の水が障害となり、冷気を都心に送り込んでいる皇居の冷却効果を薄めている可能性があることが判明。このため、来夏には、ヒートアイランド対策としてのお濠の役割を精密に検証するため、外苑濠周辺の約200か所に温度計を設置、水を濠に引いた場合の効果を分析する。

 環境省は、貴重な在来動植物の保全策も含めたお濠の新たな管理方針を来年度末までにまとめる方針だ。

恐れ多くも陛下のお住まい。綺麗にしてください。