10月も半ばを過ぎ、夕方の吟平前の通りを吹く風も、私の心に吹き込んでくる隙間風のようにひんやり冷たくなってきましたが、お客様各位、いかがお過ごしでしょうか? 吟平の『おでん』は、そんな秋のセンチメンタルなあなたに優しい『ほっこり』をおとどけします・・・。

 え~っと、おはなしはかわって、皆様、『ぬか炊き』食べたことありますか?

いわずと知れた小倉の郷土料理ですが。

 旧豊前の国(福岡県北九州市小倉、門司地区~筑豊、京築地域)、を代表する歴史の古~い料理なのですよ。 もとをたどれば、小倉藩(宮本武蔵の養子伊織が家老を務めていた)の小笠原公がぬか漬け(床漬け)が大好きで、大好きな糠を料理に使うようになったらしいのですが、玄界灘で獲れる豊富な海の幸があればこそ、の郷土料理なのです。小倉発祥の料理としては『焼きうどん』もB級グルメとして有名ですが、おつな酒肴といえばやっぱ『ぬか炊き』ですよ。 酒の肴としてはもちろん、ご飯のおかずとしてもピカイチ吟平でお出ししている一人前で本当はご飯2杯はイケるはずっ。ぐらいの。

 んでもって、いまやお取り寄せ通販の定番にもなりつつあるのです! 

 では、これまでに『ぬか炊き』をお口にされたことない、遠方より友来たるな方や「え~、ぬかみそを食べるの~?」という食わず嫌い風の方のために、簡単に『ぬか炊き』の何たるかをのべますと、

糠みそを煮付けのだし汁として、新鮮な魚を炊いた料理。です。…まんまですね。

・・・、お魚(鰯が本命、鯖も有り鯖のがウチでは人気だ。)を糠みそでにる?

要するに、鰯や鯖など青魚特有の臭みをぬかで炊くことによって、糠みそのいろんなものが渾然一体となった旨味でなかったことにし、だけど魚のおいしいトコを後ろから、これまた糠みその甘さなどが野球選手の嫁のようにさりげなくカバーしているわけです。 はっきり言って、ヌカ床のあの臭いはしません!!私は、ぬか漬けは嫌いですが、『ぬか炊き』はだいすきです。小さい頃から父の晩酌のお供の『ぬか炊き』をお茶片手につまみ食いしまくり、夜中の冷蔵庫前にもお湯呑を手に、通ってました。それぐらい好きです。 あの、口に入れてすぐのコユイお出汁の味。噛むと魚の中から「ジュワッ」と滲み出てくるその旨味。そして、わずかに鼻に抜ける山椒のピリリ具合ったら!!嗚呼、絶妙。だけど、けっして辛すぎないのです、これが。そして、鯖の場合は骨が太すぎてダメですが、鰯だったら、中骨も糠みそ効果で柔らかくなってるのでそのまま食べれて、カルシウム摂取の強い味方。 ムカつく上司の一言も、カルシウムのおかげでサラリと右から左へ受け流せ!るか、も。おれに、何故か「ぬか炊き定食」を注文される方はいつも基本的に「ぬか炊き」を浮気せずにご注文されます。マニアですね、いえ、通、です。

 と、もう激押し押しの「ぬか炊き」お持ち帰りも出来ますので、一回だけでも騙されたつもりで召し上がってみてくださいね。