週末、各所で夏祭りや花火大会
が行われたようで
浴衣姿の方を多く見かけました
夏の風物詩の「浴衣」ですが
私は患者さんのAさんを思い出しました
Aさんは60代の患者さん
いつも自営業のご主人と一緒に来院・・
初めて来院されたのは6月
浴衣姿でした・・
三好Drが
「次回は検査があるので、脱ぎ着が楽な洋服で来てください」
と話をすると
「先生何言ってんの・・浴衣なんか紐2本あれば簡単・・
毎日着てるから、ちゃちゃっと出来ちゃう
それに、今までずっと着物来てるから洋服持ってない!!」と
確かに次の来院時も浴衣、検査のために着替えを・・と言うと
目の前でちゃちゃっと検査着に着替えてくれた
そして、検査が終わると、あっという間に元の浴衣姿に変身
まるで役者の早変わりを見てるよう・・
その後の通院も、もちろん浴衣
「着物は楽なのよ・・涼しいんだから・・」と
私を含む当院のスタッフは、浴衣を簡単に着るコツを
Aさんから教わった
なぜか当院を気に入って下さり
在宅医が入っているにも関わらず
少し調子が悪くなると、ご主人の運転する車で来院された
週に数回の時もあり、酸素の管理、点滴、輸血など
少しでも苦痛が軽くなるよう・・と治療が施された
来院時は苦痛と不安でいっぱいの顔が
帰宅時は「ここに来ると安心する・・」と
安堵された顔で帰られる
在宅でもやってもらえるよ・・と話をしても
「来る!」といい、来院された・・
徐々に病状が進行していく秋口
ご主人がぼそっとつぶやいた
「信州のリンゴの木のオーナーになってるんです
毎年11月に行って、リンゴ狩りしていたんです
今年はさすがに無理ですね・・
本人が行けなくても、口にさせたくて・・」と
11月9日、当院の治療記録の最終日・・
その3日後、Aさんは家族の見守る中ご自宅で永眠された
そしてその月が終わるころ
当院に信州のリンゴが届いた
そのリンゴをスタッフ皆で合掌していただき
以下の手紙をご主人に送った
拝啓
晩秋の候 ますますご健勝のこととお喜び申し上げます.
この度は、お心のこもった「美味しいりんご」を、切なく切なく皆でいただきました・・
当院で奥様の診療に関わった6/1~11/9の間が
今でも続いている錯覚にとらわれます・・
夫婦愛・家族愛を改めて勉強させていただきました。
頑張り通した数ヶ月の疲れが、ご主人にこれからドンと来そうで大変心配しています。
これからは、ご自身の健康に十分留意されて下さい。
私たちもバックアップさせていただきます。
Aさまのご逝去に際し、心からご冥福をお祈りいたします。
合掌
Aさんのご主人も浴衣姿の方を見ると奥様を思い出すのではないでしょうか・・
お元気にされていますか?