もう誰もいない月夜の波打ち際で

小さなカニが 沈みそうな心を抱えながら

お供え団子を並べている


そこかしこに散らばる喜怒哀楽

全てを砂と一緒にかき集め

生きるのに必要なものだけを

つまみ出しては飲み込んだ


そして残ったかけらを

小さな2つのはさみで丸めていく

無数に ひたすらに



それは月の光と波に洗われて

やがて海へ還っていく

静かな思い出の海へ