俺の名前は、イガラシソウタ。
五十の嵐に立つ風に太いと書いて、五十嵐颯太。
名前の由来は「すがすがしくもたくましく」ということらしいけど、父ちゃんの「苗字に風が入ってるから名前にも風があったら格好いいんじゃないか」という安易な提案がきっかけなんだとか。
普通の高校に通う、大学受験を控えた高校2年生だ。
父ちゃんは某大手企業の社長で、母ちゃんは、敏腕国際弁護士。
ご想像の通り、金には不自由していないが、そんなことは何一つ自慢にならない。
むしろ俺にしてみれば、コンプレックスでしかない。
小学生の頃から運動会や授業参観なんかの行事には二人揃って必ず欠席。
中学、高校の三者面談でさえも、担任との二者面談になる始末。
おかげで小学生の頃から既に、だだっ広いお屋敷に一人暮らし状態。
稀に掛かってくる電話は、機械的な聴聞のようなもの。
楽しかった家族の思い出といえば、小学校の入学祝いに行ったハワイ旅行くらいで、それもかなり前のことだから霞んだ記憶。
今では殆ど憶えていない。
友達はというと、小学校からの腐れ縁の三人で、一人はいつでも冷静な、成績は同じくらいの、いわゆるライバル的存在の桃井岳斗。
もう一人は、岳斗の彼女で、見た目に似合わず真面目な、何でも話せる気心知れた仲の佐々川莉緒。
そして最後に、三人の中では一番付き合いが長い、お節介焼きのお転婆剣道少女、九十九若葉。
この三人とは本当に長い付き合いだ。
付き合いが長い分、四人の関係はいつまでも変わらないと思っていた……。