いよいよ銀行の貸出増加が本格化してきましたね✨融資額が増えるということは経済循環が活発化している証拠。おそらく景気も成長もいい流れになってきているのだと思います✨


ただ気になるのは中小企業ですよね。本当に日本が元気になるには中小企業が必要不可欠かと思います✨まだこれからが本当の勝負なのかもしれません。


大手行貸出金、01年以降で伸び過去最高

5月末、前年同月比6.2%増 大企業の資金需要旺盛

日本経済新聞 朝刊 金融経済(8ページ)

 大手企業の旺盛な資金需要に比例するように大手銀行で貸出金残高が伸びている。全国銀行協会によると、大手5行の5月末の貸出金残高は前年同月比6.2%増加した。新型コロナウイルス禍の実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)で貸出金が大きく伸びた特殊要因を除くと統計を遡れる2001年以降で最高の伸び率となった。

 全国銀行協会は三菱UFJ銀行と三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行の5行を含む都市銀行のほか、地方銀行、第二地方銀行、信託銀行の国内店分の月末の貸出金残高を集計し公表している。

 大手5行の5月末の貸出金残高は233兆円で01年以降、過去最高となった。ゼロゼロ融資で20年に残高が急増した反動で21年5月末は2%のマイナスとなったが、22年5月末は0.6%、23年5月末は3.6%のプラスとなり、24年5月末は6.2%とさらに拡大した。

 日銀の統計でも貸出金は拡大傾向だ。バブル崩壊後の1991年時点で都市銀行などの貸出金は340兆円(月中の平均残高、大手5行に加えてSBI新生銀行やあおぞら銀行など含む)あった。米リーマン・ショックなどを経て12年に194兆円まで減少したが、24年5月末には250兆円まで回復した。

 背景には、経済環境の変化がある。特に大企業では市場からの要請で事業の成長ストーリーを示す必要性が増している。全国銀行協会の福留朗裕会長は「会社経営者と話をしていると、日本経済が失われた30年を脱却し各企業で前向きな資金需要が増大していることを日々実感している」と話す。

 特に大企業では設備投資が活発になっている。りそなグループでは中小企業向けの貸し出しが3月末に前年同月比2.3%増だったのに対し、大企業向けは10.5%増と伸び率が開いた。大企業では「主に設備資金の貸し出しが増勢基調にある」。

 日銀の3月調査によると、大企業製造業の24年度の設備投資額は前年度比8.5%増と、バブル期だった1989年以来の高い伸び率を見込む。半導体材料や電気自動車(EV)向け電池材料などの生産能力を増強したり、小売りでは人工知能(AI)発注システムなどデジタル化を進めるための投資などが増えている。

 ファンドによる大型M&A(合併・買収)が貸出金の増加に寄与した可能性もある。米投資ファンドのカーライル・グループが5月に日本KFCホールディングスをTOB(株式公開買い付け)を含めた約1300億円で買収すると決めた際、三菱UFJ銀行は約280億円、横浜銀行は約230億円を上限にカーライルに融資するとした。

 米金融大手ゴールドマン・サックスによるマンション管理大手の日本ハウズイングの買収でも、約940億円のうち三菱UFJ銀と三井住友銀行がそれぞれ300億円を上限に融資する予定だ。ただ、大手外資ファンドの一部からは「銀行のM&A案件への融資はまだ慎重姿勢が根強い」との声も聞こえる。

 みずほ銀行は、M&Aやカーブアウト(事業切り離し)、設備投資などのコーポレートアクション(財務上の企業行動)のための融資やその受け皿となるファンド向けのファイナンスが貸出金の伸びの要因だと分析する。23年度は前年度に比べて国内の貸出金残高が1.2兆円伸びたがそのほとんどが大企業向けだという。

 三菱UFJ銀行も「大企業を中心に事業拡大や再編に伴うM&A関連・設備資金の融資をしっかりと取り込むことができている」とする。

 将来の金利上昇を見越して借り入れに動く企業もある。日銀は3月に長期金利を低く抑え込む長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を撤廃し、今後想定される金利上昇を前に低めの金利で固めておきたいという行動が起きやすくなる。

 三井住友銀行では「金利先高観を意識して前倒しで固定金利での借り入れを行う企業も出ている」という。一方で金利上昇は緩やかになると想定し足もとの低金利のメリットを享受するべく変動金利で借り入れる企業もいるなど、金利動向に対する企業の考え方によって行動も異なってきている。

 業態別の伸び率では、都銀と地銀で二極化が目立ち始めた。5月末の地銀(全国地方銀行協会加盟)の伸び率は3.0%、第二地銀は1.9%だった。23年5月末は地銀が4.5%、第二地銀が4.0%伸びていたのと比べると緩やかに伸びが鈍化傾向にある。

 地銀は取引先に中小企業が多く、23年夏からゼロゼロ融資の返済が本格化し4月に最後の返済ピークを迎えていることもある。企業が余剰に借りていた面もあり、返済開始で金融機関の残高がじりじりと下がっている。

 都銀の高い伸びの要因について、日本総合研究所の大嶋秀雄主任研究員は「都銀は貸し出しを積極化している可能性がある」と指摘する。

 大手行にとって目下の課題はPBR(株価純資産倍率)の向上に結び付く自己資本利益率(ROE)の向上だ。長引く低金利下で貸し出し以外の収益源を多様化してきた大手行だが、金利ある世界で利ざやが稼げるようになることから、国内の貸し出しに軸足を戻している面もありそうだ。

 (関口由紀、四方雅之)