けしごむおんなの自堕落日記~お引越し版~-201009111447000.jpg


♪そばに いーてー くーれるー だけで いい
黙っていーてもー
いいいん だよぉ~~


フランク永井である。
曲目は『おまえに』。


朝から通勤電車で、なぜにフランク永井のことを書いているのかしらん。


久々にフランク氏を思い出すことがあったから。


この歌は、けしごむの亡きお父ちゃんがよく歌っていたので憶えていますが、少し前に鈴木ダイさんの『MPS(ミュージックパワーステーション)』で、『君恋し』がかかり、あ~あたしはこれが好きだわぁ、と思ったりした。



で、けしごむが小学生の頃、よく遊んでいたAっちゃんという女の子がいた。


おうちは、お母さんが日本舞踊の先生というお家柄。しかし本人はスポーツ万能で、近所の公園で見事な鉄棒を日が暮れるまで披露してくれた思い出がある。


そのAっちゃんちの近くに、いつもシャッターが閉まった怪しいお店があり、お化けらしきものが出るとよくありがちな噂がたった。

学校では、恐怖の黄色い店として全校生徒が震え上がったもんである。


なんで“黄色い”のかといえば、よくある店の雨避けビニール屋根が黄色かったから。


好奇心旺盛なAっちゃんは、ある日学校で、半ズボンにアシックスの靴下を履いてさっそうとした出立ちで「今日の放課後は、黄色い館を探検する」
と言い出したのだった。


恐怖におののきながらも、仕方なく割りばしに『Aたんけん隊』と書いた旗をつくりフラッグ、私達は出かけた。

たんけんはひらがなだけど、少年隊のおかげで“隊”だけは漢字で書けたのだった。


いざ店の前に来ると足がすくむ。


A「いいか?」
け「昨日、男子が言ってたけど、白いネグリジェみたいなの着た口裂け女が…」
A「そ、そんなのいるわけないじゃんΣ( ̄□ ̄;)」
け「だって、シャッターも閉まって…」

A「開ける」

け「ひぃ(~ヘ~;)あせるあせる



そんなことしたら
呪われる。




A「うるさい!ウルサイ!勇気のないヤツは帰れーー(`へ´)むかっむかっむかっ

け・他仲間「(ノд<。)゜。」


仕方なく、グイグイとシャッターを引き上げると、不運にも開いてしまった。




ホントに呪われる。



シャッターを腰まで上げるとすぐ、木枠にガラスのはまった扉があった。
取っ手はブルボンのホワイトロリータみたいに、シマシマクネクネしていた。


それもノーガード
(´Д`)
簡単に空いた。





絶対に呪われる。




早く帰って、こないだ映画館でみた角川映画のパンフレットを読みたい。
呪われたらもうマッチのレコードも聴けなくなる。



でも。




Aっちゃんが旗を掲げろ、というので、
見張り役が『Aたんけん隊』の貧乏旗フラッグを無意味に振り回す。


こうすることで、外を行き交う大人たちをイカクしたかったのだ。Aっちゃんは。


そうして、いよいよ、アシックスでキメたAっちゃんは黄色い館に足を踏み入れた。すぐ後ろをけしごむが。そのあとにもうひとり。最後のH美は、つねに表に向かって貧乏…手作り旗を振り回していた。


館に入ってすぐ、下を見ると床一面にはミュージックテープが散乱しており、そのひとつひとつに目をやると、石原裕次郎やら渡哲也、越路吹雪とシャンソンの世界、石川さゆりに都はるみ(一部うろ覚えと誇張あり)あたりが、沢山落ちていた。


どうやらここはお酒を飲むところで、夜な夜な大人たちがカラオケという名の晩餐会を開く館に違いない…と思ったところに、



「ゴルァー(`へ´)!この悪ガキどもがぁぁ!」


怖いおじさんに怒られて、とっさにカセットをいくつか拾い上げると、Aっちゃんちに転がるようにしながら逃げ帰った。



そして、日本舞踊に使う、立派ででっかい華麗なる一族みたいに木製扉がついた……(;´∩`)ゼイゼイ
ステレオで、こっそり連日館のカセットを聴いて過ごした。



よくある、板の間で両脇に大きな鏡があるような、そんなお稽古場で扇子などをヒラヒラさせながら、
Aっちゃんと隊員どもは覚えたての大人の歌を大声で歌ったのだった。


♪あなたー 好きんなー人とー 踊って らして いーいのーo(^∇^o)(o^∇^)o


♪くちなしの花のー
花のかおーりがぁ(o^o^o)


♪津軽海峡 ふーゆ げ~しきぃぃー(´Д`)


♪こーれで およーしよ~ そんなに強くないーのにー(o^o^o)


そんな歌謡曲を覚え歌ううちに、Aっちゃんが特に気に入ってよく合唱させられたのが、フランク永井の
『おまえに』と、
越路吹雪の『ろくでなし』であった。


♪そばにいーてーくーれるぅ だけでーいい~



♪なんてーひどーいー アーウィッッ! いいかーたー\(^O^)/



お弟子さんの来る前の稽古場で、叫べば無駄に響く板の間。私たちは全身からほとばしるエネルギーを、ここで放出させた。


子供がそんな歌うたうんじゃない、と怒られながら。


こんなことをしょっちゅうやっているうちに、同級生には理解できない程の歌謡曲を歌えるようになっていた。

そしてあらかた覚えてしまうと、さらに新しいカセットはないかとあの黄色い館に忍び込み、ついにはカウンターを壊したり、ドアの取っ手が取れてしまったりもした。


今、けしごむが知ってる歌のうち、何分の一かはこの黄色い館という、場末のスナック跡から拾った、秘密のカセットのおかげである。



ここで、つまりは何が言いたいのかというと、人生とは面白いもので、館の器物破損を知らぬ間に繰り返してしまったAっちゃんが、その罪を償うかのように、一級建築士となったということである。


今朝いちばんの、すごいニュースであった。


スナックを沢山建ててね~ヽ(´▽`)/



【今日のけしごむ】
フランク。