「保育園落ちた日本死ね!!!」のブログが話題になり、3月に、政府は、待機児童緊急施策を発表した。
その中に、「保育園等への臨時的な受入れ強化の推進」というものがある。
具体的には、国の基準を上回る人員配置をしている自治体に、国の基準まで、子どもを受け入れろということである。
新聞に、例として出ていたのが、1歳児クラスでは、国の基準では、子ども6人に対し保育士1人なのだが、自治体によっては、独自の基準で、子ども5人に対し保育士1人としているところがある。
私が勤務している区の基準も、5人に対し保育士1人である。
ただ、この基準ってどうなのだろうかと思うことがある。
去年の3月まで勤務していた園で、私が担当していた1歳児クラスは、子どもが15人であった。
そして、正規の保育士が3人、午前(11時15分まで)と午後、非常勤職員が1人配置されていた。
正規の保育士は、基準通り、5人に対し1人の計算である。
そこに、非常勤職員がいるのだから、恵まれてはいるのだが…。
確かに、普通に遊んでいる時ならば、子ども5人を保育するのは、まあ適正人数かなと思う。
ただ、現実は、どうかというと…。
ということで、この1歳児5人に保育士1人という基準について、考えてみたい。
第一に、
保育園は、月曜から土曜まで開所している。
土曜日は、4分の1の職員体制でやっているのだが、土曜出勤の週は、月曜日か金曜日が、振り替えで休みになる。
つまり、振り替えの休みの人がいる日は、正規の保育士は2人になる。
3人担任なら、そんな日が、だいたい月に3日あるということである。
また、保育園は、12時間開所している。
しかし、職員は、7時間45分勤務である(ただし、実質ほとんど休憩が取れないので、9時間近く働いているし、サービス残業もものすごく多い。それについては、またいつか書きたいと思う)。
そのため、早番とか遅番とか延長番とかの当番制にして、時差出勤している。
例えば、延長番の出勤時間は、10時35分である。
つまり、クラスに延長番の職員がいる場合、10時35分までは、上記の場合と同様に、正規の保育士は2人になる。
年度当初の大変な時期は、副園長とかがフォローしてくれる時もあるが、してくれない時もある。
なので、子ども5人に対し、保育士が1人ついていると言っても、常にその体制が維持されているわけではないということである。
第二に、
1歳児の特徴であるが、排便が多い。
食後は、特に多い。
そのクラスは、15人中11人していたこともあった。
排便したおむつを替える場合、保育士1人につき、子ども1人となってしまう。
おむつを替えている手で、食事の介助はもちろん、絵本を読むこともできない。
つまり、1人、排便すると、子ども14人に保育士2人=子ども7人に保育士1人の割合になってしまう。
排便だけでなく、けがをして冷やしている時やものすごく泣いている時、子ども同士がトラぶっている時など、その子どもだけに向き合わなければならない時がある。
また、パンツになれば、おもらしもする。
その処理にも、1人がかかりっきりになる。
何人もゲロを吐いた時は、どうしようもなくて、他のクラスから応援をもらった。
そんなこともある。
そんなわけで、実際は、5人より多くの子を見ていることが多い。
前回も書いた、かみつく子がいたりすると、常にその子に気をつけながら、保育する必要も生じてくる。
安全に最大限の注意を払い、子どもが落ち着いて遊べる環境を作ってはいるが、実際に、食事前後は、特にバタバタすることが多い。
もちろん、1歳児クラスの子は、年度途中で2歳になっていくから、だんだんと手はかからなくなるが。
そして、子どもの気持ちにいつも共感できる環境ということでは、5人に1人という基準は少なすぎると思う。
緊急施策を見ても、お金をかける気は感じられないから、しょうがないんだけど、5人に1人でさえこうなのだから、6人に1人にしようなんて、とんでもないと思うのである。