理解が得られない科学大女子枠 | 理系女子の難関大受験記&親父のつぶやき

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9月4日、東京科学大学(旧東京工業大学)が「女子枠入試」に関して2つの重要な声明を公表しました。

 

 

 

 

 

この2つのメッセージから見えてくる現状と、そこから感じる個人的な感想について、少し整理して書いてみたいと思います。

1. 制度への議論と、個人への誹謗中傷は別物である

1つ目の声明で大学側が訴えているのは、女子枠で入学した学生(女子枠入学と思われている一般入試合格者含む)に対する過剰な偏見やSNS等での誹謗中傷を止めてほしい、という非常に切実な内容です。

 

「どうせ女子枠だろ」といったレッテルを貼り、学力や能力、人格まで一律に決めつけて尊厳を傷つけるような深刻な書き込みが相次ぎ、当事者である女子学生たちが強い不安や苦痛を感じているという現実があります。

 

言うまでもなく、「女子枠という制度そのものに対する議論」と、「制度を利用して入学した個人への攻撃」は全くの別物です。制度の是非を議論するのは大いに結構ですが、挑戦した学生個人の能力や人格を不当に貶める行為は、単なる誹謗中傷であり断じて許されるものではありません。

2. データが示す「学力不足」という偏見の誤り

2つ目の声明は、そうした「女子枠=学力が低い」という世間の偏見に対して、具体的なデータを提示して反論する内容になっています。

 

共通テストの得点データを紹介し、2025年度は平均点・最低点ともに一般入試合格者よりも女子枠合格者の方が高く、2026年度も平均点は一般合格者を上回り、最低点もほぼ同等であったことが示されました。

 

女子枠合格者が決して学力的に劣っているわけではなく、一定の基礎学力を持った学生が厳正に選ばれているという事実は、データとしてしっかり証明されているわけです。

3. なぜここまで世間の反応はネガティブなのか?

大学側がわざわざこうした声明を出さざるを得ないほど、世間の「女子枠」に対するアレルギーやネガティブな反応は根深いものがあります。

 

昨今の日本では、企業に対して女性役員や幹部比率の数値を求めるような「アファーマティブ・アクション(女性優遇施策)」が強まっています。

 

現場では無理やり数を合わせているような空気感もあり、不満や違和感を抱えている人が多いことも背景にあるでしょう。

 

しかし、企業の場合は「女性取締役」「女性本部長」といった女性専用のポストを最初から設けているわけではありません。

 

あくまで「男女区別なく能力を公平に評価して昇進させた結果」という建前を維持しています。

 

実態は、殆どの大手上場企業で、どのような育成をして幹部にするかとった計画やシュミレーションをした固有名詞を記載した「女性幹部候補者リスト」を作成し、KPI対策をしているのですが、「女性枠」として専用ポストを作っていたら、今回の女子枠入試と同じような猛反発が起きていたはずです。

 

もし東京科学大も、性別を限定した「女子枠」ではなく、男女問わず出願できる「総合型選抜」の枠を大幅に広げ、「公平に評価した結果、優秀な女子が多数合格した」という形式をとっていれば、ここまでの批判に晒されることはなかったのかもしれません。

 

ですが、それでは女子の比率を短期間で劇的に増やすことができないため、大学側は「時間を買う」ためにあえて「女子枠」という直接的な手法を選択したのだと感じます。

 

今後の「女子枠」のゆくえ

声明の最後は、以下の言葉で締めくくられています。

「制度の必要性と妥当性を定期的に検証し、募集人員の変更、縮小または終了を含め、制度のあり方を見直します。」

この言葉が示している通り、女子枠で入学した生徒が1年生から4年生まで揃うタイミングを見計らい、制度の縮小や廃止へと向かっていく流れは避けられないのではないでしょうか。

 

多様性の確保という目的のために導入された過渡的な措置が、当事者である学生たちを傷つける刃になってしまっている現状。一刻も早く、すべての学生が胸を張って学業や研究に打ち込める環境が整うことを願ってやみません。