今回は、現在ゴルフ界で物議を醸している、先週行われたアクサレディースでの申ジエ選手の「あるプレー」について私なりの考えを書きたいと思います。
勝負への執着か、不誠実極まりない「ズル」か。賛否入り乱れての激論が交わされています。
結論から申し上げます。
私は、今回の彼女の行動は「プロ根性」ではなく「ズル」だと感じました。
現場で何が起きたのか?
事件が起きたのは、最終日最終ホールパー5の第3打地点。
申選手は1打差の2位、ピンまで107ヤード、カート道左斜面の深いラフ。
勝利には、このショットをピン近くに寄せてバーディを取る必要がありました。
ゴルフの原則は「あるがままの状態(プレー・ザ・ボール)」で打つこと。
しかし、人工物(カート道など)がスイングやスタンスの邪魔になる場合は、無罰で救済を受けることができます。
申選手は右打ち。ボールのライから見て、本来カート道は邪魔になりません。
しかし、彼女はこう主張したのです。
「左打ちをするので、カート道がスタンスの邪魔になる」
疑問が残る「左打ち」の主張
競技委員から「右で打てるのではないか」と問われても、彼女は「斜面が急で右打ちだと滑る」と言い張り、実際に滑ってみせるような仕草までしました。
彼女は、左打ちをすると主張し、足がカートにかかることをアピールしました。
延々と協議が続いた結果、主張が認められ無罰でのドロップが完了。
すると、彼女は深いラフからボールを取り出し、何事もなかったかのように「右打ち」で平然とグリーンに乗せたのです。
※ドロップした後は、ボールの場所などシチュエーションが変わりますので、打ち方の選択を変えること自体はルール上、問題はありません。
一連の動画が拡散されると、ファンからは「あまりに不誠実ではないか」と炎上の事態となりました。
なぜ「ズル」だと言い切れるのか
私が「ズル」だと断言する理由はシンプルです。
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左打ちを選択する合理性がない :1打差を追う緊迫した場面で、残り107ヤード。右打ちで打てる状況にもかかわらず、アイアンの裏面(バックフェース)で打つ左打ちを選択することは、アマでもプロでもあり得ません。100人が100人とも左打と迷う事はなく右で打つでしょう。ゴルフクラブは野球のバットやテニスのラケットと違って、表面で打つことを想定した形になっており、裏面でまともに打つことはかなり難しいのです。斜面のラフであっても右打ちのほうが何十倍、いや何百倍もグリーンに乗せる可能性が高いのです。
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救済を受けるためだけの「主張」: 救済を受ける権利を得るためだけに、実際には行わない「左打ち」を口実にしたことは誰の目にも明らかです。非現実的な選択の場合は、救済は受けられないとルールに明記されています。
誠実さこそがゴルフの根幹
競技委員が認めた以上、ルール違反ではありません。記録上も正規の処理です。 しかし、ゴルフには「コースに対して、そして自分に対して誠実である」という精神があります。
勝利への執念はプロとして不可欠ですが、それはルールを「ハック(悪用)」することとは違うはずです。今回のプレーは、多くのゴルフファンに釈然としない思いを残したのではないでしょうか。
競技委員は、毅然とそんな不自然な主張はルールに違反すると突き放すべきであり、食い下がるようなら、誠実性違反で失格にすると警告すべきだったと思います。
おそらく、ツアー29勝の大御所選手に強弁され、気圧されてしまったのでしょう。
試合は、首位を走っていた永峰咲希選手が最終ホールで見事にバーディを決めて優勝しました。
申ジエ選手の行動により結果が変わることは無かったことで、永峰咲希選手も申ジエ選手も、見ていてモヤったファンも、全員が救われたと思います。


