某学歴煽り系Youtubeチャンネルで
「偏差値 国立 +5、理系+5」
というフレーズが出てきます。
大学の難易度を比較する際、生の偏差値で比べてしまうと違和感が出てしまうので国立と理系は生の偏差値に5を足す(国立かつ理系だと+10)という意味です。
河合塾偏差値を国立私立文系理系をまとめて一緒に並べてみると
70 慶應SFC
67.5 東大(文Ⅰ) 東大(理Ⅰ)
65 一橋商 青学国際政経 東工大 慶應理工
62.5 大阪工 明治政経
60 東北法 芝浦工大(建築)
こんな感じで違和感しかないですね。
で、魔法の呪文、国立+5、理系+5を唱えるとこんな感じ。
77.5 東大(理Ⅰ)+10
75 東工大+10
72.5 東大(文Ⅰ) +5 大阪工+10
70 慶應SFC 一橋商+5 慶應理工+5
67.5
65 青学国際政経 東北法 芝浦工大(建築)+5
62.5 明治政経60
うーん。だいぶマシにはなりましたが、違和感は残ります。
結論を言ってしまえば、国立と私立の偏差値、理系と文系の偏差値は比較できないし、すべきでないということです。
もっと言えば、私立文系同士でも科目数が異なりますので、比較はできません。例えば、慶應SFCは70、慶應商学部65ですが、SFCは1科目、商学部は3科目で、商学部の方がSFCよりずっと簡単と思っている人もいないと思います。
文理に分かれておらず、受験科目も同じ中学受験であれば偏差値表で学校間の難易度は比較できますが、大学受験ではそう簡単ではないということですね。
ということで、エンタメのように偏差値表を使うのはミスリードしかねないので、あくまでご自身の志望大学学部の判定に使いましょう。。。
と、ここで終わってはつまらないので、とりあえず、文理系の偏差値差だけ考察してみました。
つまり、理系+5というのは正しいか?という問題です。
【定性的推定】
文科省によると日本の高校生の理系比率は32%だそうですが、灘は8割、開成7割弱など難関校になるほど理系比率が増える傾向になっており、母集団は理系のほうが高く偏差値は低く出やすいというのはシックリきます。中学受験で言えば、理系偏差値はサピ偏差値、文系偏差値は日能研偏差値に似てると考えればイメージし易いかもしれませんね。
【駿台模試偏差値による推定】
旧帝一工の文系(経済)と理系(工学)の合格者平均偏差値は下記のとおり。(source:2021年度駿台ADVANCE)
文理系に別れる前の高2(国数英3科目総合:母集団は文理総合)
→高3偏差値(2次科目総合:母集団は文系は文系、理系は理系)
【東大文Ⅱ】(高2)68.7→(高3)64.5 △4.3
【東大理Ⅰ】(高2)72.6→(高3)65.6 △7.0
【京都経済】(高2)62.9→(高3)61.2 △1.7
【京都工】(高2)64.5→(高3)58.1 △6.4
【一橋経済】(高2)57.3→(高3)59.5 +2,2
【東工大工学院】(高2)60.6→(高3)57.8 △2.8
【大阪大経済】(高2)54.4→(高3)54.6 +0.2
【大阪大工】(高2)57,1→(高3)53.6 △3.5
【東北大経済】(高2)52.9→(高3)54.9 +2.0
【東北大工】(高2)56.1→(高3)53.2 △2,9
【名古屋大経済】(高2)53.6→(高3)51.3 △2.3
【名古屋工】(高2)55.0→(高3)51.3 △3.7
【北海道経済】(高2)52.4→(高3)50.8 △1.6
【北海道総合理系】(高2)54.1→(高3)51.3 △2.8
【九州経済】(高2)51.6→(高3)51.6 +0.0
【九州工】(高2)53.7→(高3)49.5 △4.2
高2の偏差値は母集団が全員ですが、高3の偏差値は理系は母集団が理系だけ、文系は母集団が文系だけの偏差値になるので、文理の偏差値差が推定できるという理屈です。
いずれの大学も理系のほうが高2から文理別れた高3になったときの偏差値の落ち込み幅が激しくなっており、やはり理系のほうが母集団のレベルが高いのは間違いなさそうです。
この差を文理の偏差値換算差と考えると
【東大】理系+2.7
【京大】理系+4.7
【一工】理系+5.0
【阪大】理系+3.7
【東北】理系+4.9
【名古屋】理系+1.7
【北海道】理系+0.8
【九州】理系+4.2
【上記大学平均】理系+3.5
難関国立大学の文系理系間で3.5違いますので、科目数の少ない私立文系との差はもっと広がるはずなので、理系+5というのはあながち変でもなさそうと思いました。
如何でしょうか、エンタメ記事、失礼しました