一昨日、東工大と東京医科歯科大、両学長のインタビュー記事が出ていました。
先日の記者会見でもチラッと触れていましたが、目指すはMIT(マサチューセッツ工科大学)、ICL(インペリアル・カレッジ・ロンドン)だそうです。
東工大の年間予算500億円に対して、学生数がほぼ同じのMITは5000億円と10倍、予算枠の拡大が必須で大学ファンドに応募したいとの本音を語っています。
MITの予算規模が東工大の10倍ということですが、そもそもMITの年間の学費はなんと770万円!と東工大の10倍以上となっています。
このような学費規模は日本では受け入れられることはないので、世界に張り合うなら国策としてドカンと補助しようというのが10兆円大学ファンドの狙い。
そのような目的に応募するのは理にかなっていると思います
では、東工大・医科歯科大統合新大学は、10兆円ファンドの対象となる国際卓越大学に選定されるのでしょうか?
その有力な指標は指定国立大学法人に認定された順番と世界ランキングと思います。
指定国立大学は、下記の順番で10大学が選定されています。
1.東京/京都/東北大学(2017年6月30日指定)
4.東工大/名古屋大学(2018年3月20日指定)
6.大阪大学(2018年10月23日指定)
7.一橋大学(2019年9月5日指定)
8.東京医科歯科大学/筑波大(2020年10月15日指定)
10.九州大学(2021年11月22日指定)
4.東工大/名古屋大学(2018年3月20日指定)
6.大阪大学(2018年10月23日指定)
7.一橋大学(2019年9月5日指定)
8.東京医科歯科大学/筑波大(2020年10月15日指定)
10.九州大学(2021年11月22日指定)
一見、大阪大が遅れをとっているようにみえますが、これは入試出題ミスによる混乱の責任をとって申請を見送ったという背景があり、東工大、名古屋、大阪は横一線とみるべきだと思っています。
【世界ランキング】
3大世界ランキングの国内総合順位で並べると以下のとおりとなります。()内は左からQS,THE,学術になります。
1.東京大学3pt(1位、1位、1位)
2.京都大学6pt(2位、2位、2位)
3.東工大12pt(3位、5位、4位)/大阪(4位、4位、4位)、東北(5位、3位、4位)
6.名古屋大14pt(6位、5位、3位)
東大、京大は不動のトップ2で、東工大、阪大、東北大が離れたNO3争い、名古屋大が僅差で続く感じです。
この2つの指標を見る限り、東大、京大は当確、東北大が最有力候補、阪大、東工大、名大が有力候補といった感じかなと思われます。
では、今回の統合で一歩抜け出すことは出来るのでしょうか?
私は十分可能で、鍵はPMIにあると思っています。
PMIとはポスト・マージャー・インテグレーションの略で、合併や買収後の統合プロセスを指します。経営統合、業務統合、意識統合などのロードマップを作成、実行していくプロセスで統合効果の成否を分ける重要なものですが、数合わせ統合の多い公的機関ではあまり重要視されている節はなく、うまくいった例は殆どないと言われています。
実際、先日の統合会見で、両学長が「人手不足」発言をしていましたが、PMIをきちんと意識しているのかとても不安を感じました。
民間企業で買収や統合に携わったことがある人なら誰でも感じることですが、あの発言はちょっとどうかと思いましたし、私が記者なら確実に突っ込んだ質問をしたと思います。
教育や研究の分野(成果)では、1+1>2。
管理コストなど効率面では、1+1<2。
というのが統合のあるべき姿であり、両方大事な車の両輪です。あのような発言は非効率なものを守るといった誤解を招くと思いました。
今回の統合は他のライバル候補にないアピールポイントになりますので、大きなチャンスです。
僅差で争っている名古屋大学が選択したアンブレラ方式の法人統合では絶対にできないような計画を大学ファンド申請時にドカンとぶち上げることを期待しています。
そのためには、ケチらず外部コンサルなどの協力を仰ぎ、しっかりした、そして法人統合だけではできないようなPMIをスケジューリングし、実行する、これを是非ともやっていただきたいと思っています。