置き引き事件の続きです。
売店に入った木下似の置き引き犯。
ヤツは、売店の冷蔵庫からコカ・コーラのペットボトルを取り出し、店内をうろつき始めました。
店員の位置を確認するような目線をしたあと、会計もせず、ペットボトル片手に堂々と店を後にしました。
万引きです。
ここはチャンス。
どのタイミングで問い詰めるか。
まず、冷静に反撃をされた場合の対処方法を考えます。
ヤツは水着でビニールっぽいバッグは持っていますが、凶器を隠している可能性は極めて薄いと思われました。
しかもあの体格と年齢。
背が低く小太りで腕力が強そうには思えません。
私も強いわけではありませんが、格闘技経験はあり、最低減の防御は出来そうにはあります。
とはいえ、殴りかかられる可能性がないわけではありませんので、しばらく、チャンスを伺い、順番待ちの列が出来ているウィルポートのレストランの前で声をかけました。
人もたくさんいますし、襲われたら誰か助けてくれる、あるいは、通報してくれるだろうという判断です。
「すいません。その(かっこ良い)ビーサン、貴方のものですか?」
「。。。。」(無言)
明らかに動揺し、目が泳いでいるので畳みかけます。
「私の無くなったビーサンなんですけど」
ヤツは、気弱な感じで演技を始めました。
「アレッ??」(足下を見ながら)
ヤツのか細い声が続きます。
「俺のじゃ無い。
おかしいな。
サンダル間違えてしまったみたいだ。
すいません、返します」
ビーサンを回収し、トドメの一言を。
「その、コカコーラ、万引きしましたよね?全部みてました。金払ってきて下さい。金払ったら、さっさとここから出て行ってください。」
「す、すいません。。。」
ヤツは全てを悟ったように、そそくさと売店のほうに向かって立ち去りました。
たぶん、お金は払っていないとは思いますが。
その後、私は、警備員を探し、一連の事件を話して、男の特徴とパトロール強化をお願いし、家族の元にもどりました。
僅か20分程度の出来事だったと思います。
何だか、オチのない話ですが、今から思うと逆ギレされたら危なかったのではないか、と思います。
このエピソード記事を書いていて、あの頃は血気盛んで若かった、イキッてたなって思っていまい、本当に歳をとったな、と感じている次第です。(完)