ここ数年の合格最低点の傾向は
情報理工>>>工学院、理学院>物質理工、環境社会>生命理工
といった感じですが、その年の受験生人気に左右されますので、絶対ではありません。
今年2番目に合格最低点が高かったのは理学院ですが、最近でも2番目に合格最低点が低かった年があります(2018年)。
ただし、情報理工学院はここ3年図抜けて合格最低点が高いこと、生命理工学院はここ10年以上毎年合格最低点が一番低くなっていることから、少なくとも2022年入試では、合格最低点は、情報理工学院が一番高く、生命理工学院が一番低くなるのは変わらないように思います。
特に情報理工学院はその年の2番手の学院と50点以上も差がありますので、ここ数年は逆転されることはないと思います。
この現象は、最近のAIブームもさることながら志望学院が3つ書けるようになったことが大きく影響していると思っています。とりあえず、合格最低点が一番高い第一志望は情報にしておく、って人が多いんじゃないかと。従来のように志望学院を2つまでしか書けなくなれば、差は縮まるのではないかな、って気はしています。
余談ではありますが、情報理工学院の合格最低点は東工大合格者平均よりも20点程度高いと思われます。つまり、合格者平均よりも20点も高い上位合格者が学院内ではビリっけつになりますので、安易に選ぶと入学後に苦労することになるかもしれません。
このような傾向をふまえると、情報理工学院と生命理工学院が志望候補に入っている場合は、戦略が必要になると思います。
具体例で説明します。
(ケース1)
外銀、外コン志望で経営工学を一番やりたいが、その次には今流行りのAIや人工知能といった情報工学も魅力的に思う。その次となると化学に興味もあり、どちらかといえば実用寄り、アカデミックな分野も嫌ではない。それ以外はあまりピンときていない。
これを学院志望順位でまとめると①工学院⇒②情報理工学院⇒③物質理工学院⇒④理学院ということになります。
素直に出願すれば、
第1志望 工学院
第2志望 情報理工学院
第3志望 物質理工学院
となります。
まず、第1志望工学院の合格判定ですが、東工大の合格判定は志望順位ではなく得点で決まります。
第2志望工学院のAさんが451点、第1志望工学院のBさんが450点の場合、志望順位が低いAさんが上位に判定されるということです。
第1志望の工学院の合格最低点に届かなかった場合、第2志望の情報理工学院の合格できる可能性はあると思いますか?
情報理工学院の合格最低点が工学院の合格最低点より高ければ、情報理工学院に合格することは決してありません。
つまり、例年通り情報理工学院が一番合格最低点が高い場合、第2志望以下で書いても必ず不合格になるため、志望枠を一つ無駄遣いすることになるわけです。
そう考えると情報理工学院は書かず、第3志望以下を繰り上げて出願するのが戦略的に正しいと思います。
第1志望 工学院
第2志望 物質理工学院
第3志望 理学院
なお、情報理工学院以外は年によって合格最低点の順番が変わる可能性が十分にあると思いますので、志望順に書いときゃ良かったってことにならないよう、正攻法で書くのが良いかなと思います。
(ケース2)
志望順位(やりたい学問の順番)が、①生命理工学院⇒②物質理工学院⇒③理学院⇒④工学院であった場合
素直に出願すれば、
第1志望 生命理工学院
第2志望 物質理工学院
第3志望 理学院
予想通り生命理工学院の合格最低点が一番低ければ、第1志望が不合格となった場合、第2志望以下も100%不合格になるので、第2志望以下を書く意味がないという考え方もあります。
しかし、ここ10年以上ずっと生命理工学院の合格最低点が低いといっても他の学院との差は僅か数点です。その年の人気の傾向で逆転現象が起こる可能性は十分あります。
今年東大の文Ⅲの合格最低点が文Ⅰを上回ったのは記憶に新しいところですよね。
したがって、第1志望が生命理工学院だったとしても、第3志望までしっかり書いておくことかな、と思います。
逆に、合格最低点が高そうだからという理由で第1志望物質理工学院にしてしまうと、生命理工学院に行けたのに物質理工学院になっていまうことになりかねませんので、そのような出願は意味がありません。
説明が上手く出来ているか、ちょっと分かりづらいかもなので、疑問点ありましたら、質問してください。