もう、何年も前の事ですが・・。
いつも私のことを「お姉ちゃん」と慕っていた子がウチに来ました。
・・・と言っても、チャイムの音がしたのでドアを開けたら、
いきなり私の前に土下座しているではありませんか・・。
2歳ぐらいの子供も連れています。
「どうしたの・・?」・・驚く私に、
「お姉ちゃん、助けて・・。
すぐに返すから、3000円貸してくれない?」と言いました。
私は、お金の貸し借りが大嫌いです。
自分から「返して」と言えない私は、
今までに、何回も痛い目に遭ってきました。
だから、特にずっと仲良くしたい友達には、貸し借りはしたくないと思っています。
まず、彼女の話を聞く事にしました・・。
もう、何年も会っていません。今までも、何度も嘘を付かれてきました。
そんな風だから、私の前には姿を見せれなかったと思います。
でも、一目で苦労しているのは分かりました。
「もう、この二、三日ご飯もまともに食べていないの。
せめて子供には、何か食べさせたくて・・。」・・と彼女。
ハッキリ言って、嘘だと思います。
でも、子供が余りにも不憫です・・。
彼女は、それまでに三人の男性と結婚していました。
子供も、それぞれのご主人のご両親に引き取られています。
一言では言い表せない程の、色んな事がありました!
本当の妹のように、今まで私も何度か叱りました。
でも、母親になれなかった・・そんな彼女です。
それから、全く連絡が取れなくなっていました。
そんな彼女が訪ねてきたのです・・。
私は、人にお金を貸すときは、「あげた」と思っています。
返って来るとは思っていません・・。
今まで、それなりに苦労してきた私は、
お金の有り難みも大切さも十分に分かっているつもりです。
反対に、お金は怖いモノだとも思っています・・。
お金によって簡単に心変わりした人も沢山見てきました。
だから、余計に私はお金には全く執着はありません。
取りあえず、ご飯を食べさせました。
娘の着れなくなった服も沢山あげました・・。
ウチにあったお菓子や、冷蔵庫に入っていた食品も・・
洗剤や雑貨も、紙袋に押し込み渡しました。
お金は・・どうしよう。
色々考え、30000円だけ手に握らせました。
彼女は、驚いた顔で私を見ました。
「お姉ちゃん。3000円って言ったんだよ。
こんなに借りれないよ・・。」と言いました。
私は、
「アナタに貸すんじゃないんだよ。子供の為だよ。
3000円でどうするって言うの!
本当は、これでも足りないかと思うんだけど、
取りあえず持って行けばいいから・・」と言いました。
勿論、「あげた」と思って渡しています。
その代わり・・一筆書いて貰いました。
「○月○日
お姉ちゃんに、30000円借りました。
名前 」と言った具合に・・。
彼女に、ちゃんと分かって貰うために。
他人の私に借りたお金は返すモノ。と自覚を持って貰うために・・。
一応、返って来ないと分かっていても聞きました。
「いつ返しに来てくれるん?」
彼女は、パート代が入る月末までに返すとの事です。
それから、何回もお礼を言って帰って行きました。
傍で幼い子供が無邪気に笑って手を振っています。
それから・・6、7年経った今日・・。
彼女がお金を返しに来ました・・。
相変わらず、生活は大変そうです。
「あの時、何も聞かずにお金を握らせてくれたお姉ちゃんの事、
この先も、ずっと忘れないから・・。
お姉ちゃんの事、絶対に裏切れないと、ずっと思っていた」
彼女は、泣きながらそう言うのがやっとでした・・。
何だか、救われたような・・そんな気がした一日でした。