火星の上の床屋さん -2ページ目

火星の上の床屋さん

鞄に夢を詰めて、向かうは明日へ

小説のような詩のような

静かな海沿いに立てられた小屋での出来事。
数人の男たち。
女性はいない。
何かに導かれたように、もしくはここ以外には居場所がないのかも。
男たちはというと、20台前半から中盤の年齢で、人数は5~6人で、みんな将来にある程度の夢がある。あるものは強く抱いているものもいるし、あるものはお洒落な服を着るみたいに夢を語るから、程度差は各々違うが、一緒になって夢を語っていると、どんな金持ちだって味わえないような充実感に浸ることが出来る。喧嘩もすることがあるし、晴れが好きなものもいる一方、曇りの日のほうが好きなものもいるが、男たちはお互いのことを必要不可欠な空気や塩、そして自由の象徴みたいに気に入っている。

「8ミリ映画を作ろうと思うんだ。」

8ミリ映画って、あの古い感じの画面に、声が出ないやつだろ?」

「いや、声はちゃんと出るんだ。なあ、手伝ってくれないかな?」

「いいけど、どんな映画を作るの?」

「よく決まってないな。ただ理屈臭いものを作りたくはないってだけなんだ。」

「それじゃあ撮れないじゃあないか。」

「うーん、映画に必要なストーリーってのはさ、人生の縮小だろ?だから俺たちの姿をただ撮ってみても、どこからかストーリーは生まれてくるんじゃあないかな。撮った後で勝手に誰かが理屈臭い言葉を並べればいい。ただ撮るっていっても、やっぱり撮りたいものと撮らなくてもいいものは区別していくけどね。おっと、これ以上語ると、逆に理屈くさい映画になってしまう。」

「それなら撮ってみたらいい。自然でいいのかい?」

「自然でいい。だけど、自然の姿を表現するのが一番難しくて、憧れるんだ。それと、自然っていうのは生活感を出すってことじゃないんだ、抽象的な自然だけをすくいとるんだ。詩のように。」

「そうか、だけど僕だけじゃあないだろ?みんなにも頼んでみよう。」