今日はからっと晴れた良い天気。
空からはやさしい日差しが降りそそぐ。昼間近くまで寝ていたけれど、こんな日はなかなかベッドの上から起きられない。
ぽかぽか陽気で気持ちがいいし、スズメの声は子守唄。「春眠あかつきを覚えず」とはよく言ったもんだ。ふむ、昔の人の言うことは正しいな。
そんなことを思っていると、突然外からはザーっという強い音がした。風の音かな?と思って外を見るとそれは雨の音だった。先ほどの天気が嘘のように雨が降りそそいでいた。
「にわか雨だ・・・」
雨をしばらく見つめていると、ふと黒猫さんのことが気になった。こんな雨の日は黒猫さんはどうしているのだろう?突然の雨に打たれて風邪でもひいていないだろうか?全国を行脚するという修行もそう思うと大変だなと思っていると・・・。
「ひゃー、雨だ、雨だ、」
と慌てながら黒猫さんがベランダにもぐりこんできた。そして雨にぬれた体をぺろぺろとなめている。
「黒猫さん、まだ近くにいたんですね」
「うむ。どうしようもない輩が近くにおってな。それで猫の手も貸してあげなければと思っているのだよ」
そのどうしようもない輩っていうのは一体誰のことだろうとすごーーく気になったけど、深くは聞かないようにした。
「ところでどうだ?そろそろ結婚とかしたほうがいい年だろ?いい人はいないのか?」
なんだか猫に心配されている自分が情けないなと思えたけど、家族も遠くにいるからこんなふうに心配してくれている存在はたとえ猫でもありがたいとちょっぴり思えた。
「いやあ、ところが寂しいけどいないんですよ・・・」
「そうか、それは寂しいな」
雨の勢いはおとろえることなく降り続けていた。外の地面には大きな水たまりがあちらこちらにできていた。
「何故、人間は一人だと寂しいかわかるか?」
こんな風になぞなぞを出すってことは何か深い話をしたいに違いない。さてさて今日はどんな話がとびだすのやら?
「さあ、なんでですかね?ちょっとわからないですね」
「あの水たまりを見よ。あれが答えだ」
「えっ?あれが答え?」
「うむ。先ほどまで水滴の一粒一粒だったものが、今では大きな水たまりになっている。あのように水はすぐにお互い求め合い一つになろうとするのだ。そして人の体もほとんどが水でできているではないか。さすれば、人が人を求めるのは自然の摂理と言えよう。」
なるほど、人間は体のほとんどが水でできているから誰かを求めるのか。なんだか今日の話は意外にもロマンチックだったな。
よし!今度女の子と話すときにこのこと言ってみようっと!ここは猫の手を遠慮なく借してもらおっと!
