『味の好み』というのは、
育った地域や家庭環境に大きく左右されるから、
日本人同士だって、北と南っ。その差は随分と大きいし。
味付け然りっ。
そして、『食材』に対する好み。
かなり大きな違いがっ!
と言うのも、往々にして起こりうる。
いわゆる、土地のもの。伝統料理。。昔からその地や家庭で好まれ食べられてきた物は、身体にしっかりとインプットされ、心疲れた時などは、急に妙にそれが恋しくなったりするのではないか?
わたくしにとっては、梅干しや、なっとう、卵ご飯に、厚揚げ、母の春巻きと、はすの天ぷら。
そしてなによりもお魚料理が、時々無性に食べたくなる。(あれっ?わたくし!もしや疲れているのかな?)
さて!家でのお食事っ。
たまに一緒に食事をするくらいなら、別に各々の好みの差など、たいして構わないが。
四六時中食を共にする場合は。
出来ることなら、「これ美味しいねっ!」と一緒に共感出来るほうが、わたくし嬉しい。
自分は、お肉も、お魚もモリモリ。
白いご飯も、モ〜リモリっ!
例えばドイツ人の朝、夕の
“冷たい食事”と言われる。。いわゆるパンにハムとチーズだと、『あ〜あぁあ。ご飯食べたいね!』と思うし、野菜も大好きだが、ベジタリアンとは程遠いので、野菜ばかりだと。『お肉っ!。お魚〜っ!』と欲してしまう。
食文化の違いでびっくりした事があるのだが。
その昔
まだわたくし留学仕立ての頃。
母親が「あじごのみ」をわざわざ?送ってくれた。
おせんべいやらナッツやら香ばしい小魚が小さく袋詰めされているアレである。
ドイツ人のお友達、ザビーネを家に招いた時。
早速日本の(それはそれは貴重な!)おせんべいを出してあげたのだ!
すると、速攻で
「これっ。無理!」と言った。(日本ならよそ様に出されたものを、食べねば無礼であるかもしれぬが。ドイツ人は、「これ(私には)美味しくない!」などと言ったり、嫌な顔で一瞥し、手をつけない者もいたり。そして、「これ好きじゃないから!」などと。。こんな立派な(笑っ)理由があるので、食べないのが当たり前である。
嫌なものを無理やり食べたり、嫌な事を人に強制的にさせたりしないのが、ドイツ人。
『えっ。これ、日本の普通のお米のクッキーだよっ!』(へんなものなんて入ってないよ!)
「だってこっち見てる!」(小魚っ)
えっ!そっちか。。。
「へんなもの」は入っていないが、「へんなもの(小魚)」が彼女を凝視している!といったのだ。
あれまっ。この小魚っ、ちょっと甘くて?美味しいのにね!(しかも、おせんべいに罪はないではないかっ。。)
ザビーネちゃんに向けられた「熱い視線」を回避してあげるべくっ。
わたくし。果敢に、ぽりぽりと、小魚をいただいた!
『これっ。おいしいよ〜。カルシウムだよ〜!』(ぽりほっ)
すると、「ヴ〜ウ〜フっ」と言いながら、震える真似をした。おせんべいももちろん食べない。(まったく、わたくしの小魚に嫌悪アピール。失礼極まりないが、食文化の違いだから、これまた仕方なく、まっ。悪気があるわけではなかろっ。と、別にこちらも構わないよっ)
当時、まだドイツに来たばかりだったので、
ドイツ人にとっては、こんな小魚までも、
ちゃんと『魚』に見えるのか⁈ と、
むしろ。そちらの方に、たいそう驚いたものである。
Sushiが、広く知られるようになったドイツではあるが、彼らには、魚に目が付いていると、どうも怖いらしい。海に近い地域のドイツ人は、お魚をもちろんふつうに食べる。
そういえば今働いているところのドイツ人女性経営者も、「日本の料理は健康的よね!」などというので、『日本はsushiだけじゃなくて色んな海の幸、山の幸を楽しむんだよ〜!しかも、日本料理は盛り付けも美しいよ〜!』
と、英語版の日本料理(懐石と家庭料理)の本を貸してあげたら。
『イカの姿造り』やらタコの下処理などに「気分」が悪くなったらしい。
彼女が。
「私、ずっとベジタリアンぽい食事してるし、食べるのはたまに七面鳥と、鶏肉くらいだから、こういう『姿』のわかる動物はちょっと。。」と。
もちろん、これは彼女とて、まったく悪気なく。そして、そこはお互い知って長い仲なので、わたくしも、
『えっ、そうかな? でも、みてっ。このイカっ!ほらピカッと透き通ってるでしょっ!新鮮ですごい美味しいよ〜!あ〜美味しそう〜!!』ともう一度、イカのページをわざわざ開いてあげたっ!(へへっ。嫌がる者に、ちょっと悪趣味であるかっ?)
彼女もやはり「ヴ〜ウ〜フっ」と震えた。
(ドイツ人、嫌なものを見ると、すぐこんな風に「ヴ〜ウ〜フっ」と言って震える。)
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さて、わたくしのお食事事情は?と言うと。
おかげ様で。
大抵の、わたくしの作るお料理を、「マズイ!」などと思っても。決して!そんな事は口にせず。
むしろ、食べる前から「頑張りましたね〜!」と、適当に褒めてくれる。(もっと褒めてくれいっ)
と言う、良くゆえば包容力に溢れた。要は食にかなり無頓着な者!と、出会う事が出来っ。
日々のお食事で殆どぶつかる事はない。
しかも、どんなに味付けが薄すぎたって、醤油や塩を自分でちゃんと適当にかけて、「これ。おいしいですね!」などと言ってくれる。(あっ!
ちょっと〜。また、味変えたね!まっ、好きにしてっ。)
しかし実は、それでも埋められない深い深い溝が我らにはあるのだ。
『お魚っ』
ドイツ、特に内陸部と言うのは昔から、新鮮な海の魚介類が手に入りにくいからか。今も、川魚のマスは良く食べられているようであるが、本当に新鮮な秋刀魚や鯵イワシやサバなどはほぼ手に入れる事が出来ない。(冷蔵コーナーに、イカやエビ。イワシがあったりぐらいで、解凍しても生臭く、あまり美味しく仕上がらないし。)
町の市場で手に入るものでも、日本人からしたら、すでに鮮度抜群ではないマグロやサーモン(寿司に使えると言うが、明らかに加熱用の鮮度)。
加熱用のタラの切り身や小ぶりのタイ、カサゴ、イカなどなど。。(しかもふざけている程にお値段がする!)
一度買ったホタテのお刺身用など、ふた粒で千円を超えたが、あっと言う間にバター焼きに変身っ。。(生臭くて生は無理っ)
日本人として生まれ育ったわたくし、もちろんお魚大好きである。
しかし、大好きだからこそ!
そのような余り新鮮でない物は、たくさんお金を払ってまで食べたくない。(ならば、缶詰で我慢だ!)
ドイツで生魚を買う事が殆ど無いのだ。
うちで出るのは、せいぜいツナ缶、たまに鯖缶、スモークサーモン、焼きジャケ、そして冷凍エビくらい。
そんな訳で食の好み、ほとんどぶつからず。
ところが。。。数日前っ。
新鮮な魚など、手に入るはずもないこの地で、ついに見つけちゃった!この鮮度。(アジ。お目々もあまり濁っていないし、ピカッ。)
魚屋さんではなく、トルコ人の経営する、小さな小さな食材マーケットに、なぜか、アジやサバが。。
(数は少ないが、大変に新鮮に見える!)
見た瞬間!
『これでアジフライっ!絶対に美味しいよね〜。』
散々迷ったが、この日は買わずに、
おうちで早速写真を見せてあげた!
『みてみて〜!!これすごくない?アジだよ〜。今度買ってみようかな〜んっ。』
「どうぞ!」
『本当〜?じゃあこれで美味しいアジフライ作るねっ!』
「いえ、僕は食べません。一人でお好きにどうぞっ!」
(これで。わたくしが一気にテンション下がっちゃったパターンである。。)
『なんでよ〜っ!アジフライだよ!食べた事あるでしょ!(日本で)』(ここでアジフライの美味しそうな画像をネット検索)
「いえ、そういうのは食べた事ありません。」
『でも、唐揚げとかメンチカツはよく知ってるじゃんっ!アジフライもあったでしょ!!』
「はい、唐揚げ美味しいですね。たくさん食べました!でも、これは食べた事ありません!」
『でも美味しいよ〜!』
「骨、ありますよ。」(当たり前であるっ!)
『当たり前じゃんっ!骨ないと魚じゃないよ! イカもエビも好きなのに、なんでよっ!骨なんて、子供じゃないんだからちょっと自分で避ければいいじゃん!』
「エビもイカも骨がありません。骨を見た瞬間に、食欲が消えます!」(ふんっ。お子ちゃまか!)
『あ〜ぁあ〜んっ。。。食の好みが合わないなんて、一緒に暮らすには致命的だよっ。』(完全にテンション下がった。)
「ちょっと〜!何を言うんですか!あなたは一つご不満だとこんなです。極端ですよねっ!!
僕たち、味の好みはかなり合う方です!
てかっ。。」(てかっ。なによ?)
この後、僕、あなたに結構合わせています!と言いたげだねっ。(怒っ)
すると、
「あっ、ほら、この間「えびのグラタン」あれなんて、一緒に凄く美味しく食べたじゃ〜ないですか!!
『そうだね。エビ好きさんだもんね! しかも、味が濃すぎて、わたくしにはちょっとしょっぱ過ぎたしっ!』(自分で塩加減を間違えた。)
そして
ふと、心の中で、思うのだ。
“わたくしの作ったもの、いつもほとんど文句を言わず、なんでも食べてくれてありがたいよっ!エビグラタンも多少頑張ったよ。。。でもさ、今、わたくしが無性に食べたいのは、『あのお魚を買って、アジフライ』なのだ!!
頑張ってさばいて、カリッとフライにして、ワンチャンソースとか、タラりっと、かけたりして。。。
『美味しそう〜だ〜ぁ!』
ようしっ。
待っておれっ!
必ずや骨無しのアジフライを作って、アジフライのおいしさっ。覚えさせちゃうからねっ!(こうなったら、骨抜きピンセットを早速ネット検索であるよっ!)
そのうち「骨があるから」ではなくて、「骨があっても!」だよっ!
そして、2人して
『このアジフライ美味しいねっ!』
「ね〜!!」
と言い合いたい!のであるっ。
