ある日,患者さんが,
「自分の住んでいる地域の緩和ケア科のある病院リストです」
と新聞の切り抜きを持ってきてくれた.
上から順に病院名を眺めてみて,フムフムなるほどと・・・
標準治療終了後,「あとは緩和」と主治医から送り出される
緩和ケアの多くは,『標準治療が終わったあとは,症状緩和
以外の治療は基本終了.あとは,死を受け入れて,静かに
その日を待ちましょう.』が基本スタンス.
だから,患者さんが,緩和外来申し込み時に,
『このまま座して死を待つわけにはいかない,まだなにか
治療をやりたい,治療を考えている』などと告げると,
死の受け入れが不十分とでも捉えるのか・・
『では,治療が終わったらその時点で連絡下さい』と門前払い
になったりする.そもそも「初期からの緩和」って話はどこ
いった?とも思う.
そうなると,まだ諦めない,まだ治療を頑張りたいという
患者さんには,別の形のサポートが必要になってくるわけで,
『見守っているから,やりたい事はナンでもやっていいよ.
たまには外来に顔見せてね.痛み止めがいるなら処方
するよ.あと,困った時はいつでも連絡頂戴.』
といった感じの,サッカーチームのサポーターではないが,
患者さんにも地元サポーターのような緩和ケアが必要となる.
ところが,「標準終了→お決まりの緩和ケアへ」と敷かれた
既存のレールから外れた患者さんに,世間は結構冷たい.
さて,改めてその病院リストを見てみると,患者さんからの
情報や当院の判断基準で,サポーターのような緩和ケア
と判定される医療施設は25施設中2施設 = 8%・・と少ない.
感覚的にもそんなもんかな,と思う.
まぁ,少ないとボヤいていてもしようがない.
そういった現実の中でなんとかするしかないわけで.
当院では,開院以来,患者さん全員に
『治療のことにばかり目が行く気持ちは良く分かるが,
自分が安心して治療が受けられる環境づくりも治療と同じ
くらいに大事.』と口酸っぱく伝えてきた.
地元のサポーター確保は,安心して治療を受ける環境づくり
の中核だ.だから,サポーターさえ確保したら,安心して
好きなことにトライできる.