25施設中2施設=8% | 「あとは緩和」といわれたら

「あとは緩和」といわれたら

少量抗がん剤治療(がん休眠療法)で
元気に長生きを目指す ー

ある日,患者さんが,

「自分の住んでいる地域の緩和ケア科のある病院リストです」

と新聞の切り抜きを持ってきてくれた.

 

上から順に病院名を眺めてみて,フムフムなるほどと・・・

 

標準治療終了後,「あとは緩和」と主治医から送り出される

緩和ケアの多くは,『標準治療が終わったあとは,症状緩和

以外の治療は基本終了.あとは,死を受け入れて,静かに

その日を待ちましょう.』が基本スタンス.

 

だから,患者さんが,緩和外来申し込み時に,

『このまま座して死を待つわけにはいかない,まだなにか

治療をやりたい,治療を考えている』などと告げると,

 

死の受け入れが不十分とでも捉えるのか・・

『では,治療が終わったらその時点で連絡下さい』と門前払い

になったりする.そもそも「初期からの緩和」って話はどこ

いった?とも思う.

 

そうなると,まだ諦めない,まだ治療を頑張りたいという

患者さんには,別の形のサポートが必要になってくるわけで,

 

『見守っているから,やりたい事はナンでもやっていいよ.

 たまには外来に顔見せてね.痛み止めがいるなら処方

 するよ.あと,困った時はいつでも連絡頂戴.』

といった感じの,サッカーチームのサポーターではないが,

患者さんにも地元サポーターのような緩和ケアが必要となる.


ところが,「標準終了→お決まりの緩和ケアへ」と敷かれた

既存のレールから外れた患者さんに,世間は結構冷たい.

 

さて,改めてその病院リストを見てみると,患者さんからの

情報や当院の判断基準で,サポーターのような緩和ケア

と判定される医療施設は25施設中2施設 = 8%・・と少ない.

 

感覚的にもそんなもんかな,と思う.

 

まぁ,少ないとボヤいていてもしようがない.

そういった現実の中でなんとかするしかないわけで.

 

当院では,開院以来,患者さん全員に

『治療のことにばかり目が行く気持ちは良く分かるが,

自分が安心して治療が受けられる環境づくりも治療と同じ

くらいに大事.』と口酸っぱく伝えてきた.

 

地元のサポーター確保は,安心して治療を受ける環境づくり

の中核だ.だから,サポーターさえ確保したら,安心して

好きなことにトライできる.

 

全ての患者さんへのアドバイス.
あなたを見守ってくれる,地元のサポーターを確保することを
忘れないで下さい.
足場を固めることは治療と同じくらい大切ですよ.