『がん闘病日記:森永卓郎 著』 | 「あとは緩和」といわれたら

「あとは緩和」といわれたら

少量抗がん剤治療(がん休眠療法)で
元気に長生きを目指す ー

経済アナリストの森永卓郎氏の著書

『がん闘病日記』(フォレスト出版)と書店で目が合い購入.

 

2人に1人が,がんを患う時代.がんは,誰にでも起こり得る

わけで・・・テレビで見知る著名人の闘病記とはいかなる

ものか,と手にとって見た次第.

 

 

 

大まかな闘病の流れは,

・ある日,突然膵臓がんIV期の診断を受ける.

 (診断に至るまでに医療者も苦労したようだが,最終的は

  原発不明がんの診断となる.患者さんはしっくりしない

  話だろうが,診断に苦慮するがんは,ときにあるあるだ.)

   下矢印

・膵臓がんの標準治療である,

 ゲムシタビン+アブラキサン を受ける.

   下矢印

・抗がん剤投与から2日後.副作用で極度の体調不良.

 意識朦朧でフラフラ,食事はイチゴ1日3粒いちごのみ.

 「三途の川が,はっきり見えた.」と記載あり.

   下矢印

・原発不明がんに診断が変更.

 ニボルマブ(オプジーボ)

  +

 免疫療法(活性リンパ球療法?詳細不明:自費診療)導入.

   下矢印

・現在,病状は小康状態.体調も戻り,仕事を続けている.

 2023年11月「来年の桜は見れない」と主治医から言われて

 現在(2024年7月)に至る.

 

ちなみに,当院を来院する患者さんの臨床背景は

大きく以下の4パターンに分類される.

1:標準治療をやり終えた(適応となる標準治療がない)

2:副作用の受容が難しく、標準治療の継続を希望しない

3:高齢や併存疾患がある等の理由で、標準治療が受けられない

4:はじめから標準治療を希望しない

 

森永卓郎氏は,やや変則だが「パターン2」となる.

 
使用薬剤が,その人に合っているか否かは一人一人で異なる.
最初に使用したゲムシタビン・アブラキサン(パクリタキセル)は,様々ながん種のキードラッグであり,その恩恵を受けて
いる患者さんは多い.
 
だが,そこは抗がん剤.合わない人,駄目な人には
まったく駄目.それこそ,命を削られる.
 
森永卓郎氏にとって,それらは薬というより極めて強い
毒薬でしかなかった.こればかりは,体とその薬の相性
なのでどうしようもないのだが,いずれにしても,これら
(あるいはどちらか片方)は,同氏には2度と使用しては
けない薬剤である.
 
さて,その後森永氏は,ご自身でいろいろ考え,検討の後
自ら選択された治療内容で,現在病態は落ち着いている
わけだが,そこに至る過程や考え方は,意見・見解の違い
あるとしても,参考になるであろう.
 

いずれにしても,がんの闘病はまさに人生の一部であり,

後悔しない選択をするのは,あくまで自分自身である

ということが読み取れる.

 

「標準治療」は,大多数の患者さんに有益であるという

位置づけではあるものの,十人十色・・多様であることが

本質である患者さんすべてに適用されうるものではない.

標準から外れるということも,それはそれでがんと向き合う

1つの形であり,患者さんの権利である.

 

その他,経済アナリストらしく,「がん治療とお金」の話も

わかりやすく書いてあります.

 

是非書籍をお手に取ってみて下さい.