がん性腹水 | 「あとは緩和」といわれたら

「あとは緩和」といわれたら

少量抗がん剤治療(がん休眠療法)で
元気に長生きを目指す ー

70歳代,女性.

腹膜がんによるがん性腹水貯留.

CART(腹水濾過濃縮再静注法)目的に

遠方より都内医療機関を受診していた.

 

毎回CART時,

7,000ml〜8,000mlの腹水を穿刺していたと.

 

地元では,治療がない,「あとは緩和」と言われた中,

腹水が少しでも減らないかと当院へ.

 

各医療機関と連携を組みながら,少量抗がん剤治療開始.

 

使用薬剤は,

   カルボプラチン 25mg/body

+パクリタキセル 15mg/body

+ベバシズマブ  50-100mg/body

を3週間毎投与.

 

世の中的には「水」扱い.

医学の常識では,効くはずのない投与量.

でも,効くときは間違いなく効く.

ちなみに副作用はない.口笛

 

CART目的入院時に,

毎回7,000ml以上の腹水を穿刺していたところから,

すぐに5,000ml台に減少した.

 

そして,先日の外来受診時では穿刺するほどの

腹水は見られなかったため,予定していた,

CART入院は延期となった.

 

腹水がコントロールされると,

体調が戻ってくる,食欲が戻ってくる,

体の浮腫みも軽快してくる,

声に張りがでて,笑顔が戻る・・・

 

食事が摂れるようになったことで,

1.7g/dLだった血清アルブミン値が

あっという間に2.4g/dLと上昇してきた.

 

多分,この患者さんのアルブミン値は,少しずつ

上昇して3.0g/dL近くにはなるのではないか.

 

腹水のコントロールに

少量抗がん剤が効果を見せることは多々ある.

 

CARTを導入しながら,

少量抗がん剤治療で腹水コントロールを探る・・

結構いい治療の組み合わせだと思う.

 

もちろん,効かない症例もある.

効かない症例は,なぜ効かないのか,

どうすれば効くのか・・・

当院の大きなテーマの1つである.星