微小循環理論に基づいた少量抗がん剤治療では,
ある抗がん剤が効いた患者群に共通する
血液検査データを重畳的に拾い上げて,
その薬剤が効く“条件”を絞り込んでいく.
詳細は,書籍にて述べているため割愛するが,
血液データは,がんとその周辺の環境(微小循環)
を反映するので,血液データが仲立ちとなって,
がんとそれに合う抗がん剤がつながることになる.
この効果症例データの弁証法的解析で
薬剤選出条件を絞り込んでいくという発想は,
ある意味,人工知能(AI)の考え方と重なる
ところがある.
そこでは,開発薬剤の「効果がある」ことが
確認されることこそが重要なので,
効果が予測される患者さんを選び,
その患者さんで薬剤効果が有ることを見る試験
(第2相試験)こそが最も重要な臨床試験と
位置づけられる.
従って,“極論だ”,“お前はアホ医者か?”
という批判を受けることを覚悟で言えば,
第2相試験の先に控えている
多くの症例・時間・お金を必要とする
「第3相試験」は必ずしも必要ない,となる.
第3相試験が必要ないとなると,
1剤あたり何千億円とかかるとされる
薬剤開発費を大幅に縮小することができる.
開発費を大幅に縮小できうるということは,
安価に薬剤を患者さんに届けることができる
ことに繋がっていく.
つまり,1錠あたり原価「数十円」の
某分子標的治療薬の販売薬価が
1錠「ウン千円」になることはない.
ミクロ経済,マクロ経済ともに
右肩上がりのがん診療費にどうすれば
歯止めがかけられるか・・・
答えは「微小循環理論」にアリ,だ.