癌治からの速達 | 「あとは緩和」といわれたら

「あとは緩和」といわれたら

少量抗がん剤治療(がん休眠療法)で
元気に長生きを目指す ー


日本癌治療学会学術集会・・・

通称・“癌治(がんち)”

日本を代表するがんの専門学会で,
第54回目が今年10月に横浜で開催される.

私のように,大病院を離れ,
一介の町医者に落ち着いてしまうと,
“癌治”もどことなく遠い世界の話という感覚になり,

ここ数年以上,
いつしか学会から足は遠のいた状態であった.


そうした中,癌治事務局から
送られてきたの1通の速達・・・

「何だろう?・・」と封を開けると,

なんと!

私へのシンポジウムの演者依頼.

セッション名は
『遠隔転移を認めるIV期癌の治療戦略』 とある.

どなたが推挙して下さり,
最終的に決まった話なのかは知る由もないが,

そうそうたるメンバーの中に
町医者ひとり・・・

正直,
日本を代表する学会のシンポジストとなると,

私のような日陰者にとっては,
まぶしい日の当たる場所に
図らずも身を晒すことを意味するため,

迷い・戸惑いは隠せず,一晩考える事にした.

まぁ,一晩考えたところで
大した知恵が出るわけでもないのだが・・・


本大会のテーマは
『成熟社会における,がん治療のリノベーション』とある.

リノベーションとは,
既存のシステムの一部を利用したり,
それを創造的に破壊することによって
新しいシステムを構築すること,とある.

ならば,
『まぁ,当院の行っている治療内容の提示は,
多少なりとそういった部分に貢献できるのかナ・・・』

と思うところもあり,

『よしゃ!』と腹をくくり,

慎んで,シンポジストをお引き受けする事にした.


さて,それからが大変だ.

書籍やブログといった
砕けた文章を書きになれた身には

久しぶりに書く学会抄録の文体は,
すでに身近なものではなくなっており,

昔を思い出し,四苦八苦しながら,
文章構築を行うことになる.

抄録を書きあげるにあたり,書籍中で,
当院のデータをまとめておいて本当に良かった,と

あらためて安堵する.


さぁ,賽(サイ)は振られた.

後は,本番を待つのみ.

“まな板の上の鯉”の心境だな.