島倉千代子の
『人生いろいろ』」という歌がある.
その歌詞の中に,
『人生いろいろ 男もいろいろ
女だっていろいろ ・・・♪ 』
という有名な下りがある.
ふざけているわけではないのだが,
どうもこの曲を聴くと,
『がんにもいろいろ♪・・』
と口遊(くちずさ)んでしまうところがある.
ただ,
ここでいう“いろいろ”は
腺がんや扁平上皮がんといった
病理組織学的分類のことを指しているのではない.
たとえば,
肺腺がんを例に取ると,
同じ腺がんでも
当院の低用量抗がん剤治療の薬剤の組み合わせは,
以下に提示する4症例だけでなく,
全ての症例でバラバラ,千差万別である.
・白金製剤+カルセド(アムルビシン)
・アドリアシン+カルセド(アムルビシン)
効く抗がん剤が異なるということは,
がんを構成するがん細胞の性質が個々で
異なることを意味している.
組織学的に同じ組織型に分類されたとしても,
個々の症例のがん細胞の『多様性』・・
つまり,細胞の性質の組み合わせは
“いろいろ”と言うことだ.
http://ameblo.jp/gin-nami/entry-11087648646.html
ブログ内で個々の抗がん剤レジメンを表記しにくいのは
この多様性ゆえである.
同じ組織型だからといって抗がん剤は同じではないのだ.
『吉田肉腫』で有名な吉田富三博士は
http://ja.wikipedia.org/wiki/吉田富三
『がんも身のうち』という言葉を残しているが,
もともと,異なる体質をもつ
個々の『身のうち』から発生した“がん“は,
医療者が一般に考えているよりも
遥かに多くのバリエーションを
持つであろうことは想像に難くない.
当院の治療における
十人十色の抗がん剤の組み合わせを顧みると,
エビデンスに根ざした治療として提示される
現行の標準治療のバリエーションに
何とも閑散とした淋しさを感じるのは
自分だけだろうか.
どうも,今の抗がん剤治療そのものが
なにか根本的に間違っている気がしてならない.



