乳癌:シフラ高値 | 「あとは緩和」といわれたら

「あとは緩和」といわれたら

少量抗がん剤治療(がん休眠療法)で
元気に長生きを目指す ー

前医が何故,乳癌の患者さんに
腫瘍マーカーの1つである
シフラ(CYFRA:サイトケラチン19フラグメント)を
測定したかは判らない.

シフラは腫瘍マーカーの1つで,
肺癌の扁平上皮癌(>腺癌)のマーカーとして

一般には利用される.

いずれにせよ,シフラ高値の乳癌の患者さん.

シフラは,乳癌ではあまり一般的な
腫瘍マーカーではないが,
サロゲートマーカー(代用マーカー)
として使えそうなものはナンでも利用する.

前医に感謝.



 

 

 

 

 

 

 


こういう症例に出くわすと,
昔,癌研時代に関わった仕事を思い出す.


以下の PNAS の論文から
考察を進めてみると,

http://www.pnas.org/content/99/19/12357.abstract


肺癌細胞においては,腺癌を構成する細胞が
分化の方向性のヒエラルキーの一番上に位置しており,
その下に扁平上皮癌,小細胞癌等の構成細胞等が位置する,
と考えることができる.

癌である以上,乳癌でも肺癌と同様に捉えていいのではないか.

だから,癌の進行のなかで,腺癌でありながら,
癌細胞が扁平上皮癌様の形質を獲得したとしても
なんら不思議ではない.

 

 


シフラは扁平上皮癌の腫瘍マーカーであり,
 

 

 

 

 

また,ブレオという抗癌剤は扁平上皮癌に対して
使用されてきた薬剤である.

 

そして,本症例のように,シフラ高値の場合,
乳癌でありながら5FU系(ゼローダ,TS1)といった
腺癌で一般的な薬剤よりもブレオが有効なことがあるのだ.

 

昔からある値段の安い薬剤だが,
医療保険が適応されないのがネック.

 

まぁ,当院はこういう時,

当院は,分院の存在が重宝してはいるのだが.

 

抗癌剤治療は,臓器特異性の枠を
取り払うことが必要だと考えている.

 

 

★φ(-_- 。)・・・
※当院での低用量抗がん剤治療症例が
 2012年4月の時点で総数400症例を超えました. 
 その中からの経験症例を少しずつ紹介していきたいと

 思います.
 
※低容量抗がん剤治療・・・
 細かいことをいうと微妙な定義の違いはあるようですが,
 当院ではがん休眠療法,メトロノミック療法と呼ばれて

 いるものとコンセプトは同じと捉えています.
 本ブログでは低用量抗がん剤治療の呼称を使用します.

※当院の治療は,同一がん種においても使用する抗がん剤の

 内容・投与量は個々の患者さんの病態・治療歴・その他の

 諸条件により様々です.
 そのため,提示した患者さんに行っている薬剤使用法が,

 ブログをご覧頂いている患者様にそのまま適用できるという  ものではありません.
 読者の皆様に,そういった誤解を与えないために本文中では
 使用薬剤についての
記載を省いてありますことをご了承くだ

 さい.


2012年4月
銀座並木通りクリニック 
http://www.ginzanamiki-clinic.com/