程度の差はあるものの,
多くの抗癌剤の副作用に脱毛がある.
抗癌剤は,細胞分裂をしている細胞に作用する.
髪の毛を作る毛母細胞は
常に活発に分裂している状態にあるが故に
抗癌剤の影響を受けやすい.
脱毛を起こす代表薬として,タキサン系抗癌剤がある.
胃癌,肺癌,婦人科癌領域等で良く使用される.
標準量で使用すると
1ヶ月以内に髪の毛のほとんどが抜け落ちる.
タキサン系抗癌剤の使用にあたっては
始めから,髪の毛はすべて抜け落ちるということを
前提に治療に導入される.
では,低用量抗癌剤治療ではどうなのか?
「髪の毛は抜けますか?」
当院での治療を始める前に
患者さんから良く聞かれる項目の1つである.
例えば,
タキサン系抗癌剤のタキソテール(ドセタキセル)を
当院で使用するときは1回量が10~20mg/body.
最低1週間は間隔をあけて継続投与するのだが,
この使い方だと脱毛を見ることは殆どない.
時々,髪が抜けると訴える患者さんはおられるが,
抜けたとしてもパラッ,パラッという感じ.
少し,薄くなったかな・・・という感じで,
どこかで抜け止まる.
総じて,低用量抗癌剤治療では脱毛が
主だった副作用として問題になることはない.
話はズレるが,髪の毛に関しては不思議な経験がある.
低用量抗癌剤治療で脱毛はなかったが,
直毛だった髪質が天パーになった患者さんがいる.
何故天パーになったのかは,理由が判らない.
なかなかにチャーミングで好評だった.
キャンサーワールドはミステリアスなのだ.
★φ(-_- 。)・・・
※当院での低用量抗がん剤治療症例が
2012年4月の時点で総数400症例を超えました.
その中からの経験症例を少しずつ紹介していきたいと
思います.
※低容量抗がん剤治療・・・
細かいことをいうと微妙な定義の違いはあるようですが,
当院ではがん休眠療法,メトロノミック療法と呼ばれて
いるものとコンセプトは同じと捉えています.
本ブログでは低用量抗がん剤治療の呼称を使用します.
※当院の治療は,同一がん種においても使用する抗がん剤の
内容・投与量は個々の患者さんの病態・治療歴・その他の
諸条件により様々です.
そのため,提示した患者さんに行っている薬剤使用法が,
ブログをご覧頂いている患者様にそのまま適用できるという ものではありません.
読者の皆様に,そういった誤解を与えないために本文中では
使用薬剤についての記載を省いてありますことをご了承くだ
さい.
2012年4月
銀座並木通りクリニック
http://www.ginzanamiki-clinic.com/