大学の教授会の任務を明確化する「学校教育法改正」法案が、先月(平成26年4月25日)国会に提出されました。
この改正について、全国大学高専教職員組合を事務局とした「学校教育法改正に反対するアピール署名をすすめる会」がネット上で署名活動をすすめています。
このアピール署名は、ネット上で拝見すると、5月9日で3千人以上になっています。
私は、その「アピール」と「アピール署名に付記された署名者のメッセージ」について、疑問などを書かせてもらいます。
それは単なる批判ではなく、議論を深めてもらいたいためです。
さて、その「アピール」なのですが、国立大学や有名私大の学長・副学長経験者やテレビやメディアで知られた教授など11人が「呼びかけ人」になっていますが、そのアピールの日付は「2014年4月7日」。
これっておかしくないですか?
「呼びかけ人」の方々は、4月25日公表の改正条文案をまったく読まずに、4月7日に「アピール」を出したことになります。
その「アピール」の冒頭を紹介します。
「日本の大学と民主主義は、今、重大な危機にさらされています。
政府・文部科学省は、教授会が審議する事項を学位授与や教育課程の編成等に限定し、教育研究と不可分な人事・予算等を審議させないことで、学長の権限を抜本的に強化するという学校教育法改正法案を今通常国会で成立させるとしています。教職員による学長選挙を否定し、学部長さえも学長の指名にすることを射程においています。(以下、省略)」
この11人の呼びかけ人は、具体の条文案を読まずしてこの「アピール」の呼びかけ人になっていることになります。
教授会についての条文案を見てみます。
現行「第93条 大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」
これが改正案では、
「第93条 大学に、教授会を置く。
② 教授会は、学長が次に掲げる事項について決定を行うに当たり意見を述べるものとする。
一 学生の入学、卒業及び課程の修了
二 学位の授与
三 前二号に掲げるもののほか、教育研究に関する重要な事項で、学長が教授会の意見を聴くことが必要であると認められるもの
③ 教授会は、前項に規定するもののほか、学長及び学部長その他の教授会が置かれれる組織の長(以下この項において「学長等」という。)がつかさどる教育研究に関する事項について審議し、及び学長等の求めに応じ、意見を述べることができる。」
現行では、「重要な事項って何?」ということになり、改正条文案では、それをより具体的に明確化しただけではないでしょうか?
それに現行では「審議する」と書かれているだけで、「で、どうするの?」ということが書かれていません。
「アピール」では、「教育研究と不可分な人事・予算等を審議させないことで・・・」とありますが、「人事・予算等を審議させない」とはどこにも書いていません。
「学長が意見を聴くことが必要であると認めるもの」も意見を述べることができるし、③では、「前項に規定するもののほか・・・・審議し、・・・・できる。」と従前どおり審議できることになっています。
学部などがたくさんある大学では、教授会がたくさんあって、なんでもかんでも重要事項だと審議して、大学全体としての意思決定が迅速化できない状況があります。
逆に「ワンマン理事長や学長」がいるような大学(ごく一部の私立大学など。)では、「それは重要事項でない」と重要事項を少なくしてしまう理事長や学長もいるでしょう。そういうときへの適正化につながります。
それらを少しでも改善しようというものではないですか?
条文案も読まずして、「日本の大学と民主主義は、今、重大な危機にさらされています。」「教育研究と不可分な人事・予算等を審議させない・・」と強烈な文を書いてミスリードしているのではないか?と私は危惧しています。
「呼びかけ人」の11人は、「中央審議会大学分科会の審議のまとめ(今年2月)」の内容とその報道などのみの情報で、4月7日付けで「アピール」の呼びかけ人になっています。
それで、4月24日までに、2千人以上の人たちがその「アピール」を読んで、賛同署名しています。(4月25日より前に、ネット上にこの署名をすすめようといった関係者・団体のHPなどの情報からそれがわかります。)
「アピール」の呼びかけ人11人は、4月25日公表のこの条文案を読んで、このアピール案で本当に良いのか、確認してほしい。
また、賛同署名者も、4月25日公表の条文案を読んで、確認してほしい。
今回はここまで。
