●香高堂食文化記=カモカモ・エブリディ

 

平日朝は柔軟体操などをした後、朝8時までに朝食をつくる。NHKの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」を見るが、展開の早さと省略、無茶振りのような作りに付いていけない時がある。多分時間感覚の流れが世代的に異なるのだろう。だが、朝からジャズを聴けるのは良いのだが、AIとか言う歌い手の張り上げ熱唱をうるさく感じる時がある。

 

先日やっと合鴨の塊を買うことが出来た。マルセイユでは秋からスーパーの棚に並ぶが、日本では鴨南蛮用の薄切りがほとんどで塊肉は少ない。脂がのっておいしいのは11月から3月で、肉は赤みを帯び、柔らかく風味があり、脂身も普通に食べられる。日本では<鴨鍋・鴨汁>などだが、やはり肉の旨みが染み出る<ロースト>が一番美味だろう。この時期になると<鴨のコンフィ>や<鴨南蛮>など「毎日がカモカモ」で良いかもしれない。

 

 

フランスでは<鶏>よりは高級食材という位置づけだが、スーパーマーケットでも1年中手に入る比較的おなじみの食材。鴨肉は濃厚なソースが良く合うが、焼いたフライパンにバルザミコ酢と白ワインを煮詰めるのが手軽だ。ボルドーの力強い赤ワインでもブルゴーニュでも負けない。

 

一方、「鴨のコンフィ」はフランス南西部の発祥で、冷凍技術のない時代に肉の保存のために考えられたもの。加熱後そのまま冷やし、固まった脂肪で肉を完全に覆うと、数か月ほど保存できる。「コンフィ」は焼くのではなく「オイルで煮る」調理法、「鶏肉のコンフィ」「砂肝のコンフィ」など保存性を高める食材に浸す調理法の総称でもある。

 

 

「スーパーで鴨肉は無いですか」と聞いたら、「合鴨ならあります」と言われた。<合鴨>はマガモとアヒルを交配させた鶏で、<アヒル>はマガモを食肉用に改良して家畜化したもの。英語ではすべて<duck(ダック)>、マガモ・アヒル・アイガモは生物学上の区別の定義がないようだ。「アヒルの肉」としてなじみ深いのは高級中華の代表格の<北京ダック>だ。

 

一方、時代劇の江戸の町で蕎麦屋の屋台を見るが、まだ鶏肉が出回っていなかったため、身近な存在だった鴨肉が使われた。「カモがネギを背負ってくる」と言われるように、ネギと相性が良いので<鴨南蛮>が生まれた。「鴨飯」もあるようだが、食べたことは無い。脂皮を煮だしてスープをとり、薄塩味をつけてご飯を炊き、肉はたたいて、炒めてから酒としょうゆで味をつけ、熱いご飯の上にかけるようだ。