●香高堂旅空記=熱き心に雪が降る

 

2022年1月6日昼前から、東京に雪が舞い始めた。そして、夕方には「きゅきゅ」、夜は「さくさく」、翌朝は「ざくざく」と踏みしめると鳴き音を出していた。雪は<そそ><すす>とも読む。「恥辱を雪(そそ)ぎ名誉を全うする」「冤罪が雪(すす)がれることになった」と使われる。

 

 

1963年にリリースされた<雪が降る:Tombe la neige>は<イタリア生まれ>の<ベルギー人>のアダモが唄った<フランス語の歌>だ。実に西ヨーロッパの国情と歴史が現れている。「♪雪は降る あなたは来ない 雪は降る 重い心に…♪」と切ない恋心を巧みに表現している。

 

ヨーロッパの民族は大きく3つに分けられ、ラテン系はヨーロッパ南部に,ゲルマン系民族は北西部から中部に,スラブ系民族は東欧諸国などに多く分布している。その他イギリスに多いケルト系、アジア系のフィン人、ハンガリーのマジャール人もおり、民族系統が不明の少数民族であるロマとバスク人も生活している。

 

 

正月に大滝詠一の特番(再放送?)見ていたが、小林旭の<熱き心に>が流れた。2015年の年明け、サラエヴォのホテルでイスラム系の新年お祝い会合があった。そこで聞いたのは民族歌の出だしのメロディは「♪北国の旅の空、流れる雲はるか・・・♬」、まさに<熱き心に>だった。大滝詠一は各国の民族音楽をベースにして楽曲を作っていたが、それはあくまで空気感だけのようである。

 

<なごり雪>は伊勢正三作品の一つ「♬東京で見る雪はこれが最後ね…♪」。<22才の別れ><海岸通り>など作品の多くが研ぎ澄まされた感性表れるストーリーで、その曲を聴くとそれぞれのシーンが思い浮かぶ。

 

 

雪をめぐる歴史の名言がある。

ルターは「嘘は雪ダルマである、長く転がせば大きくなる」

田中角栄は「雪は金持ちの屋敷、貧乏人の庭をかまわず、平等に降り積もる」

幕臣の高橋泥舟は「欲深き人の心と降る雪は、積もるにつれて道を失う」

そしてドイツの文豪ゲーテは「すべてをいますぐに知ろうとは無理なこと。雪が解ければ見えてくる」と書いている。