●風英堂葉月記=五輪霧中、参加と酸化

 

五輪期間中に、2013年に書かれた織田正吉の「笑いのこころ ユーモアのセンス (岩波現代文庫)」を読み終えた。作者は1931年神戸市生まれ。漫才台本や新作落語の執筆、演芸番組の作・構成を手掛けた。

その本の中に東京五輪の話が書かれている。勿論2021年でなく、1964年東京五輪である。

❖記念硬貨が発行されて、製作者の料亭での慰労会の席上、芸子の一人が「買っていくらも経たないのに錆が出た」と言う。その時出席者の一人が「さびていいのです、オリンピックは“酸化”することに意義があるのです」と言い、座は盛り上がった。❖

 

今回の東京五輪は記念硬貨は無いし、経済効果も無い。無観客で参加も出来ず、飲食店経営者等人々の心だけが酸化してしまったようだ。それでも、飲食店を営む我が若き友人は必死に立ち向かっている。8月5日のFACEBOOKの投稿だ。

 

◆商人モリグチは、菅総理や五輪有識者の過去の言動を読み返して商売の参考にさせてもらっています。さすが頭のいい人たちは発想が違うよねー!!頑張れニッポン!!

都知事=「飲食店は酒類の提供を中止したうえで営業時間を短縮してください」

モリグチ「中止の考えはない。強い警戒感を持って商売に臨む」

モリグチ「安心安全な商売に向けて全力で取り組む」

モリグチ「バブル方式で商売する。感染拡大の恐れはないと認識している」

モリグチ「商売を中止することは一番簡単なこと、楽なことだ。商売に挑戦するのが国民の役割だ」

モリグチ「コロナに打ち勝った証として商売する」

モリグチ「(商売は)今更やめられないという結論になった」

モリグチ「『商売するな』ではなく、『どうやったら商売できるか』を皆さんで考えて、どうにかできるようにしてほしいと思います」

モリグチ「もしこの状況で商売がなくなってしまったら、大げさに言ったら死ぬかもしれない。それくらい喪失感が大きい。それだけ命かけて商売する為に僕だけじゃなく商売を目指す国民はやってきている」

モリグチ「国民に感動を与えたい。商売はコロナ禍収束の希望の光」

 

飲食店を経営する株式会社スマイルリンクルの森口康志氏は昨年6月、「創業から28期を迎え、アホなりに突っ走ってきました。幹部の成長が著しいこのタイミングで、自分は枠から外れてビジネスの視野を拡げることにします。モリグチ、社長やめました!!」とコメントしている。

 

 

ところで、「五輪」を「帰省」に置き換えた「五輪構文」が拡散されているようだ。あまりに秀逸なパロディであり、的を射ている。説得や論争には、理を尽くした説明より詭弁が相手をねじ伏せる。野党も詭弁を弄してみたらどうか。商人モリグチの反骨心を紹介したが、どちらが先かは分からない。

国民1「中止の考えはない。強い警戒感を持って帰省に臨む」

国民2「バブル方式で帰省する。感染拡大の恐れはないと認識している」

国民3「帰省を中止することは一番簡単なこと、楽なことだ。帰省に挑戦するのが国民の役割だ」

国民4「安心安全な帰省に向けて全力で取り組む」

国民5「コロナに打ち勝った証として帰省する」

国民6「(帰省は)今更やめられないという結論になった」

国民7「帰省するなではなく、どうやったら帰省できるか、を皆さんで考えて、どうにかできるようにしてほしいと思います」

国民8「もしこの状況で帰省がなくなってしまったら、大げさに言ったら死ぬかもしれない。それくらい喪失感が大きい。それだけ命かけて帰省する為に帰省を目指す国民はやってきている」

国民9「家族に感動を与えたい。帰省はコロナ禍収束の希望の光」

国民10「我々は帰省の力を信じて今までやってきた。別の地平から見てきた言葉をそのまま言ってもなかなか通じづらいのではないか」

国民11「(帰省中止要請は)自主的な研究の成果の発表ということだと思う。そういう形で受け止めさせていただく」

国民12「言葉が過ぎる。帰省中止を決める立場にない」

国民13「帰省が感染拡大につながったエビデンスはない。中止の選択肢はない」

国民14「(帰省について)政府は反発するだろうが、時間が経てば忘れるだろう」

国民15「帰省することで、緊急事態宣言下でも帰省できるということを世界に示したい」

国民16「帰省について限定的、統一的な定義は困難」

国民17「実家を訪問するという認識。帰省するという認識ではない」

時の指導者群の言葉には詭弁があり、底意地の悪い執念深さを感じる。「見ざる・言わざる・聞かざる」「民の声は聞かず、事実も見ない」「自分の言葉も発しないで原稿素っ飛ばす」「メディアを脅し、官僚や自治体も締め付ける」等々。