旅空香高堂=ブックカバー⑱ハードボイルドは志~長い後書き

 

アイルランドの作家スウィフトの「ガリヴァー旅行記」は子供向けの物語と思っていたが、当時の英仏など国際関係を風刺した小説と言われている。ハードボイルドの語源はこの話の「卵の殻の正しい剥き方」論争だ。

ウィキペディア(Wikipedia<第一篇 リリパット国渡航記>におけるリリパット国とブレフスキュ国の戦争の原因は「は大きな方から剥くか、それとも小さな方から剥くか」についての意見の相違に由来する。偉大かつ不朽の風刺文学、最高の政治学入門書の一つとして、法における判例上の対立、数理哲学、不死の追求、動物を含めた弱者の権利等が描かれている

 

 

我がブックカバー~ハードボイルド系は<長い長い~前置き>に始まり、テーマを決め、焦点を当てた。最初に「混沌とした時代を活きる女性」として<近藤史恵・宮部みゆき・領家高子・梨木香歩>の4人の女性をリストアップした。

その後は<正統派=原寮><気骨=稲見一良><銀座=樋口修吉と柴田哲孝><冒険=船戸与一><矜持=青山二郎><悪と警察=大沢在昌>のいわゆるハードボイルドらしき男性作家を取り上げた。

さらにハードボイルドを構成する要素として<料理=北森鴻><愛と恋=高橋治><恋と愛=内海文三><スパイ=柳広司><近未来=早瀬耕>を加え、最後に<少年=真崎守>を加えて16編とした。

 

ハードボイルドとは、少年少女時代に抱いた、いつまでも忘れぬ「清冽な心と志」と思う。<清冽>とは=自己抑制が効き、未練なく、媚びずに、悪びれない。恥を知り、孤独を恐れず、きりりとして気高く、端然と生き清々しいが漂う。

そして、それ以外の何物でもない。私もそのように生きたいと思っていたが、未だ出来ずに生き延びている。新型コロナ感染、まずは静かにふわりと受け止め、「時の流れるままにやり過ごす」しかないようだが、理解しようとせずに、そうはさせないと苛立てる状況もある。

 

 

人生をあまり語るつもりはないが、静かな精神を保ちながら、危うい、疾しき社会現象を検証し、言葉で書いている。あの「不要不急宣言」からから生まれた「コロナ禍の真実と事実」が暴き出されようとしている。

不始末、不祥事、不手際から、不穏当で不可解な事象が起き、

不謹慎、不作為で不透明になり、不都合で理不尽が罷り通る。

不実行から、不利益、不景気、不採算となり、不自由な世の中になった。

不届き・不出来・不人情が、不気味さを作り出し、

不用なものから、不純で不埒な動機が支配する。

夏を前にして人々の心に、芙蓉の花が溢れる浮揚感は生まれるのであろうか。

ハードボイルドな心の闘いは果てしなく続く。