~バドミントン(1)~

とある都内の体育館。金曜日の夜だというのに、クラブ活動や地域の集まりを楽しむ人たちで賑わっている。その中に紛れ、Tシャツにジャージ姿のキミと僕がいる。右手にはラケット、左手にはシャトルを持って。僕は苦笑いを浮かべながら、事の顛末を思い出す。


そう、あれは先週、キミの買い物に付き合っていたときのこと。渋谷に程近い明治通り沿いのNATURAL BEAUTY BASICであれこれ試着するキミを眺めていた。シンプルで上品な色使いの服なのに、キミが纏う姿はすこしセクシーで、僕の目を楽しませてくれていた。着せ替え人形のように次々と変わっていくキミは、ホントに綺麗な女性だと感じた。

「どう?似合うかな?」
「うん、惚れボレするくらいだよ」
ニッコリ笑いながら答える僕に、微笑み返すキミ。
「綾瀬さんは線が細いから、こういう服似合うね」
「ありがと。でも、そんなに細くもないのよ、これが。。」
「またまたぁ、そんな謙遜しなくていいのに。だいたい、綾瀬さんって運動できない感じだし、ホントに細身の女性ってイメージだよ」
この一言がマズかった。。キミはすこしムスっとした表情で、
「失礼ね。これでも運動神経いいほうなのよ。桜井クンこそ、いかにも文系って感じよ」
そう言って試着室に戻り、自分の服に着替えなおす。会計を終え荷物を僕に任せて、店の外へ向かうキミ。
「やれやれ、お姫さまはオカンムリだ・・・」
内心そう呟いて後に続く。

「そういう桜井クンは運動できるの?」
「僕?ん~まあ、ぼちぼちだね」
「ふ~ん、でも私よりもできると思ってるのね?」
問い詰めるようなキミの口調。
「そりゃ、まだまだ女の子には負けてないつもりだよ」
「じゃあ勝負しましょう?」
キミの意外な言葉に焦る僕。
「勝負??」
「ええ、そうよ。スポーツは何ができるの?」
困ったなと思いながらも会話を続ける。
「サッカーはまあまあできるかな。後は、卓球、ビリヤード。っとこれはスポーツじゃないね。ん~バドミントンも遊びでやってたけど、結構得意なはず」
「バドミントン!」
キミは我が意を得たりというような表情で、
「じゃあバドミントンで勝負ね。サッカーはふたりではできないし、卓球もビリヤードも運動っていうほどでもないでしょ?」
「ん、まぁ、そうだけど。。」
「それじゃ決まりね」
満足そうにキミは微笑んでいたね。


「準備はいい?最初は軽く練習ね」
ぽやんと先週のことを振り返っていた僕の意識を呼び起こすキミの声。
「ん?あぁ、いつでもどうぞ」
まだすこし納得いかない様子の僕にはお構いなしに、キミはシャトルを弾く。