古くから受け継がれた細胞たちが、ホッとするのを感じることが出来るんだ。

鳥のさえずりや木漏れ日

樹々のざわめき

季節の草花の香り

川のせせらぎ

心地好いそよ風

ひいてはかえす波打ち際の音

囲炉裏端の炎

身近にあったものが

密閉された住宅や
舗装された環境で

鳥のさえずりは種類が限られ

木漏れ日の横を忙しく通り過ぎ

草花の香りは

スーパーの洗剤売り場の強烈な香りにかき消され

川のせせらぎは

両側をブロックで規則正しく固められ

心地好いそよ風は

室外機の熱風や、生活排水のシャンプー臭を運び

ひいてはかえす波打ち際の音は

リゾート地の贅沢となり

囲炉裏端の炎は

直線的なLEDの明かりになったりして

ぼくらは身近にあったゆらぎを
感じにくくなった。

定期的なモーター音や、
コンクリートに囲まれた直線的な音や、

刺激の強すぎる香りや、
直接脳に働きかけるような味や、

暗闇を許さないかのように

部屋中を平たく照らす真上からの照明や、

平たくて、硬くて、直線的で、

変化に乏しいから

強く刺激的にしてごまかすような

こんなことに

ぼくらは慣れてないんだ。

だからさ

暮らしにゆらぎを取り入れると

古くから受け継がれた細胞たちが
ホッとするのを

感じることが出来る。

例えばロウソクの炎。

ゆらゆらとした明かりを
目の端に感じるだけで

はるか昔、炎の周りで
安心した記憶が呼び覚まされる。

例えば風鈴の音。

屋外の不規則な風に吹かれて
風情豊かな自然のリズムに身体がゆるむ。

例えば炭火焼の焼き鳥

例えば開けた窓から見える月

例えば湯船

例えば家庭菜園の濃い味のレタス

例えば家中から、柔軟剤やファブ〇ーズを追放して飾った花の香り

例えば、、、、、、

こうして

暮らしにゆらぎを取り入れると

古くから受け継がれた細胞たちが
ホッとするのを

感じることが出来るんだ。

ゆらぎのリズムとともに生きようぜ