もう数十年昔のことです。

建設工事が進行中で完成まじかの某施設で、

一週間にわたるボイラー・タービンの使用前検査が行われていました。

月曜日から金曜日まで、国の機関の職員が検査を念入りに行いました。

無事に検査が終了して、その検査員が帰りました。

工事現場としては、ほっとしたところです。

 

その直後に、停電が発生したのです。

受電設備が止まりました。全停電です。

検査中なら大変なことになっていました。

 

受変電盤の一番初めにあるディスコーン(DS)が壊れて投入部分が脱落していました。

アークも発生したようで、盤内に白色及び灰色の付着物があります。

これへの対処は、工事期間中であったので、受注業者が取り換えを行いました。

原因は、DSの取り付け部の閉め忘れではなく、DS本体の可動部のねじが緩んでいて、

それがはずれ、アークがとぶ事故に至ったと思われます。

 

施工中のねじ締めの再確認だけでなく、

盤内の製品自体の品質管理にまで神経を集中する必要があると認識させられた事故であったと

考えています。

が、大手メーカーの製品が緩んでいるなどとチェックできるものでしょうか。

この問題の事前の対処は、かなり難しそうです。

 

まれな事故であり、製品の品質までの管理は難しいですが、

起きうる事象として認識しておく必要があります。

 

 

この時に、不思議なことがありました。

その停電が発生した直後に、突然、電力会社の関連会社の職員が、突然その某施設の事務所に来たのです。

何故来たのかを聞きますと、たまたま近くまで来たので、立ち寄ってみたとのこと。

事務所の電気が全部消えていましたので、その人たちも不思議に思ったようでした。

すぐに受変電室に行きました。

そして、その職員が受変電盤を開けて、「これ、電気事故ですよ。」との第一声。

この方達には、工事中から関わってもらい、また、完成後もずっと点検に関わっていただく人たちです。

彼は直感が働いてたまたま来たのか、不思議なことでありました。

 

事故が起きるときには、こういうことがあるんだなあと言う出来事でした。

 

この出来事を知って何の役に立ちますかという事ですが、

大規模な工事をするときには、予期せぬことが起きます という事です。

 

事前に知っておき、それが発生したら、直ぐに対処する方法を考えて

行動しなければなりませんという、その意識付けの例題的なものにはなると思います。

 

電気の仕事に関わるものとして、電気事業法は常に最新の情報に触れつつ

内線規定もバイブルのようにして、読んでいたいものです。

 

 

 

もし同じような経験をお持ちの方、いらっしゃいましたら、

その時の状況など教えていただけますと、嬉しいです。

よろしくお願いいたします。