前回は、患者をちゃんと治していないと、治せる治療院に患者をみんなとられてしまい経営が厳しくなるという話をしました。
今回は前回の続きで、まだあるその他の問題について書いていきます。
2、〔医師が同意書を書かなくなる。〕
「訪問マッサージ業界は、どうなっているのか?」のところでも書きましたが、ちゃんと治療しないと医師が同意書を書いてくれなくなります。
報告書に評価が書いてなかったり、
パーキンソン病なのに固縮と拘縮の違いがわからないとか、ホーネンヤールを知らないとか、
片麻痺患者に入りながら、ブルンストロームステージを知らないとか、促通法がわからないとか、
そういうレベルでは医師が同意書を書くわけがありません。
どれだけ患者を治すために努力をしても、
一部にこういう人がいることで訪問マッサージ業界全体の信用を落としてしまいますから、業界全体のためにもキチンと治せるようになっておいた方がいいです。
3、〔保険者が保険を認めなくなる〕
報告書に評価が書いてなく、施術が効果があることを証明することができなければ、
医療のマッサージとして認めてもらえません。
「これは医療マッサージではなく慰安のマッサージになりますから、今後行うなら自費で行ってください」と言われてしまいます。
保険者が納得するような施術の仕方をしていないと、保険を認めてもらえなくなり、保険診療はできなくなってしまうでしょう。
4、〔そもそも患者がかわいそう〕
ちゃんと治療をしていないことで何より問題なのは、患者の人生を不幸にしてしまうということです。
慰安のマッサージをするだけで、本来なら歩けるようになるはずの患者を、寝たきりにさせてしまったり、
片麻痺のブルンストロームステージⅢの患者に対して、促通法を知らずに、ただ筋トレだけをして共同運動を進めてしまったり、
ALS患者に入る際、
ALSは筋肉に過度な負荷をかけると筋力低下をおこすということを知らずに、ALS患者に無理な筋トレをしてしまって、状態を急激に悪化させてしまったり、
こういったことは、患者や、患者の家族にしてみれば「知りませんでした」で済まされる問題ではありません。
特に、ALSのような難病で、治療の知識がないまま施術にはいると、患者の死期を早めてしまいます。
私は、こういうのは、「殺意のない殺人」だと思っています。
治療ではなくて、殺人です。
でALS患者が訴えた記事を見ることができます。
このように、
今後も訴えられる事例は増えていくでしょう。
しかし、私は訴えられるくらいですめば、いい方だと思っています。
患者の家族にしてみれば、死期を早めた施術者は殺してやりたいほど憎い相手でしょう。
暗がりで後ろから患者の家族に刺されても、少しもおかしくないと思います。
物騒な話ですが、病気を治すための知識や技術がないまま治療に入るということは、それほど、罪深いことだと思います。
実は、
かく言う私も、リハビリによって障害をおった家族を持つ者です。
私の弟は知的障害を持っています。
しかし、生まれた時から障害を持っていたわけではありませんでした。
生まれた時はまともな普通の赤ん坊でした。しかし、首が斜頸になっており、それを治すためにマッサージを受けることになったのです。
母親に言わせると、このときのマッサージがひどいものだったそうです。
エクソシストのように首を180度後ろに回したり、ヌンチャクのように弟の頭を持ってふりまわしていたそうです。
結局、弟は頚髄に傷がつき、脳に栄養がいかなくなってしまい知的障害が残ってしまいました。
今なら裁判沙汰になるところですが、そのころの患者の立場は弱く、泣き寝入りするしかありませんでした。
母親が、「弟をマッサージした連中をまとめて殺してやりたい」と言っていたのを、私は子供ながらによく覚えています。
私も医療の職について、当時の弟を担当したPTかマッサージ師かわかりませんが、彼らがいかに無知で、いい加減に治療をしていたのかがよくわかります。
障害者を家族に持つと、本人もその家族も苦しみは一生続きます。
ホントに一生です。
このことは、
ホントーに、
訪問マッサージで入っている施術者に訴えたいことです。
あなたの判断が、
患者の、
ひと1人の残りの人生を決めるのです。
正直、私は今でも、弟の首をマッサージして障害者にした連中が許せないです。
ですから私は、いい加減な施術者のせいで不幸な結果になってしまった患者の気持ちが、痛いほどよくわかります。
キチンと治療していないと多くの患者を不幸にしてしまいます。
それではあまりに患者がかわいそうです。
私と同じような不幸な思いをする患者を少しでも減らすためにも、キチンとした治療を行うべきです。
医療に携わり、
患者の人生を背負う立場にあるのなら、
人として、
「キチンと治療することが当たり前だ!」と、私は思います。