カバルッチさんがTRIZの限界って言ってることの一つに「普通、取り扱う技術問題には沢山の矛盾が内包されているのに、その中から一番重要な矛盾を選び出す方法をTRIZは教えてくれない」という項目がありました。

USITでは特に矛盾に言及しないため、私はここ数年、あまり「矛盾」ということについて突き詰めてこなかったのですが、改めて考えてみようかと思いました。

で、最近のテーマにしていた「切り餅」ではどう考えればいいんだろう?って考え始めたのですが…これがなかなか。


越後製菓が解決した問題は「焼き上がった切り餅が焼網にくっついて汚してしまうこと」でした。どうして汚してしまうかというと、「いつどこから餅が噴き出すかわからない」からです。そこで、越後製菓が見つけた解決策というのが「側面がパックリと焼ハマグリのように開く」ことでした。

そのために「側面に図のような切り込みを入れる」ことをやっています。
こうすると餅内部が膨張して、外に噴き出そうとしたとき
①側面に亀裂が入る
②上下に開くので、内部の餅が噴き出しても焼網にくっつかない
というわけです。

$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-越後パッケージ

でも、
ここで私はあれっ?と困ってしまいました。

この状況で「矛盾」ってなあに?

そもそも、TRIZでいうところの「矛盾」というのは、「何かの特性や機能をよくしようとしたとき、別なところに不都合が起きる」ことがスタートになっていると思います。
よく取り上げられる事例として「飛行機は速く飛ぶために翼が小さくなければならず、飛行を安定させるためには翼が大きくなければならない」というのがあります。
これらは「速く飛びたい」でも「安定も欲しい」という希望があるんですよね。

待てよ…
なるほど、同じように考えると「おいしくするために、餅全体を均一に柔らかくしたい」でも「焼網は汚したくない」という風に考えればいいのか。これはいわゆる技術的矛盾の状態と言えますね。

これをもう一段、物理的矛盾の状態にまで整理しようとすると…
「餅がおいしいために全体が柔らかくなければならない」と同時に「焼網を汚さないためには固くなくてはならない」という風に理解しても良さそうですね。

そして、「側面パックリ」という焼き上がり形状は(表面のパリパリは置いておいて)、「おいしく食べるために全体が柔らかい」と同時に、焼網サイドから見ると「焼網にくっ付かないために、焼網方向には固い」という見方もできそうですね。

ふんふん、この記事を書く前にはここまで整理出来ていませんでした。
自問自答っていうのもいいですね。今回、一人で満足してしまいました。