物語図化法コンサルの古謝です。

3月から断続的に取り上げている「サトウの切り餅訴訟」に関する話題です。

始まりは越後製菓が「焼き上がった餅が網にくっついてしまうことを防止する」ために、「側面に切り込みを入れた」ことでした。

$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-越後パッケージ

そして、佐藤食品のこの側面の切り込みが訴訟のポイントとなりました。

$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-サトウ

でも、越後製菓も佐藤食品も広大な技術フィールドの中の本当に片隅で争っているのではないか?
というのが、ずっと一貫して言い続けている私の疑問です。

今日は、細かいことを言うのはやめて実際に「全く別な技術的観点から、側面がパックリ割れて、ハマグリ型ないしはモナカ型にできる」という実験結果をご紹介します。

まず、普通に焼いたときの切り餅です。

$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-Sh
下面が膨らんで、餅全体が押し上げられていることがわかります。

そして、今回のアイデアの一つ目の結果です。
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-Sh黒胡椒焼後
側面がパックリ割れていることがわかります。
このとき、側面には何の細工もしていません。ですが、上下面にツブツブがくっついています。

焼く前の状態がこれです。
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-Sh黒胡椒焼前
実は黒胡椒をまぶしてあります。
狙ったのは「輻射熱の吸収率アップ」です。これによって、「上下面の温度上昇を促進→上下面の硬化促進→上下面強度アップ」が実現出来ているようです。

そして、もう一つのアイデアを適用した結果です。
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-Sh重曹焼後
これも、側面がパックリ割れてくれてます。こっちは側面に細工をしてありますが、切り込みとは全く違う考え方です。

焼く前がこれです。
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-Sh重曹焼前
なんかどろどろした白い液体がわかりますか?側面に重曹のスラリーを塗り付けてあります。狙ったのは「側面での熱吸収」です。これによって、「側面の温度上昇を抑制→側面の硬化遅延→側面強度ダウン」が実現出来ているようです。

<補足>
重曹を使った理由は、重曹の熱分解による吸熱です。
65℃で熱分解して、周りの熱を吸収するから消火剤にも使われるらしいですね。こちらを参照下さい。http://ja.wikipedia.org/wiki/重曹

水分も残ってますから水の蒸発熱による吸熱も影響しているかも知れません。
あるいは、
白い色で輻射吸収を下げているかも知れません(影響は小と想像)。
今回、その分離まではやってません。


これらは技術的に可能性のあるアイデアのごくごく一部です。
越後製菓も佐藤食品も、切り餅が焼き上がる直前の「餅に亀裂が入る」瞬間だけに着目していましたが、ここでご紹介したアイデアは餅の本当に焼き始めに着目しています。

ということは、焼き始め~焼き上がりまでの途中の段階にも沢山のアイデアがあるはずだということが想像出来ると思います。

その辺はまた別の機会に。