物語図化法コンサルの古謝です。

切り餅の話題で沢山の方々に興味を持っていただき、感謝致します。
今日は、米つながりで「米粉(こめこ)」の製造法改良のアイデアについて書きます。

米粉パンに使われる米粉の作り方は、主に「湿式製粉」という方法が使われているそうです。
この方法は、以下に示すように「浸漬、水分調整」工程を入れることによって米粒をばらばらになり易い状態にしておいて、粉砕機に入れても衝撃がソフトになって米粒の中にあるデンプン粒が壊れるのを防いでいるようです。

1:原料投入 →2:精選処理 →3:洗米、浸漬、水分調整
→4:粉砕工程 →5:気流乾燥工程 →6:混合工程 →7:袋詰め
(出典:㈱西村機械製作所平成21年3月米粉加工技術シンポジウム資料)


水浸漬をしても、3~5%程度のデンプン損傷は避けられないようです。
更にデンプン損傷を少なくするために、酵素を使う方法も利用されています。

でも、酵素なんてお金がかかりそうです。そこで、もっと安くできる方法がないか考えてみました。

そして、見つけました!
その方法はどこのご家庭にもある「米酢」を使う方法です。
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-ミツカン米酢
このごく当たり前の「ミツカン米酢」を使いました。

まずは、ただの水に1時間浸漬したときの米粒に一定の衝撃を加えたときの様子を見て下さい。
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-水浸漬
砕けた粒がゴツゴツしていて、破断面の角が鋭角になっています。

これに対して、「米酢の2%水溶液」に1時間浸漬したときの米粒に同じ衝撃を加えるととこんな風になりました。
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-2%米酢浸漬
全体の平均的なサイズが小さくなっていて、砕けた粒の形が丸みを帯びていますよね。

米酢の働きを想像してみました。

まず、水だけの浸漬。
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-損傷アリ
デンプン粒の間にある細胞壁(茶色いラインで示しました)がまだ強固にデンプン粒同士を結合しているので、衝撃が加わった時にデンプン粒自体が割れるイメージかと。

これに対して米酢2%水溶液への浸漬では。
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-損傷ナシ
細胞壁がフヤケて水がしみ込む結果、衝撃が加わったときには細胞壁のところからデンプン粒がきれいにばらばらになるように感じられます。

米酢なんて安いものです。そして、それが2%で十分。主成分の酢酸の濃度で考えると、米酢の状態で4.5%と書かれていますから、浸漬溶液にしたときには0.1%もないことになります。

味や粉砕機への影響もそんなに大きくはないのでは?
もしデンプン損傷率が現状と同じでいいのなら、浸漬時間を短くできるというメリットがあります。

米粉製粉メーカーのみなさん、ご興味あれば実験してみて下さい。
そして、結果を教えて頂けると非常に嬉しいです。