技術の見える化スペシャリストの古謝です。

4月13日の読売新聞朝刊に「カップ麺食感進化」というタイトルで出ていた記事にこんな図が掲載されていました。日清食品「どん兵衛」がどんな風にしてその食感を進化させてきたかを示したものです。

$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-うどんの進化


一方、TRIZ(トゥリーズと読みます)という問題解決の考え方の中に「技術進化のトレンド」というツールがあります。これは例えばフォークの歯が1本から4本に進化したように技術が進化するときにはある一定の法則に従うので、その法則を知っていれば、現状の技術を進化させたいときにどんな方向を目指すといいかという指針を与えてくれるものと私は解釈しています。当初整理されたトレンドは8つくらいだったようですが、その後の研究で今は31のトレンドがあります。(TRIZ実践と効用 体系的技術革新:Hands-On Systematic Innovation Darell Mann著)

2007年以前のウエーブうどんから2008年のストレートうどんは形状変化という見方も出来るかも知れませんが、全体構造としては中身が詰まった固体と捉えることができます。トレンドの⑵を見ると…

$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-トレンド⑵


となっていて、なるほど「単一の固体」(2007年以前、2008年)から「多孔質構造」(2009年)へと一気に飛んでいることがわかります。2010年は、しかし「活性要素を入れた多孔質構造」となっている訳ではなくて上下を多孔質構造でサンドイッチした3層構造になっています。他の見方はないかと思いトレンド⑴~(31)の一覧表を見ると…ありました、トレンド(16)「単一システム」→「二重システム」→「三重システム」→「多重システム」(類似物)というのが。つまり、どん兵衛の麺の食感進化は一つのトレンドだけでなく、二つの複合したトレンドに沿って進化していたようです。

なるほど、そもそもトレンドという見方自体、法則性って言っても物理法則みたいな厳密なものでなく、その時代時代の要求を反映した動きなので、必ずしも一つだけのトレンドに従うとは限らないんだろうなと改めて思いました。