技術の見える化スペシャリストの古謝です。

3/4の記事では少し大雑把だったり、角度を傾けたイメージで描いたりしていて、少しわかりにくかったかも知れないので、しつこいかも知れませんがもう少し突っ込んでみます。

こんなこと、日常生活では無駄なことが多いでしょうが、前会社のときにこういう見方をすることで、エネルギーの変換効率を大幅に向上させるお手伝いをしたこともあります。

場面はプラスチック板の上を水滴が広がって角部まで来たとき、でした。
今日の説明は少し戻って、水滴が広がるときの水滴の形(≒基板との接触角)のイメージからレビューすることにします。


$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-接触角説明

この図は界面化学の教科書には必ず出て来ますよね。ここで言いたいことは「基板上の水滴の立ち上がり部分の角度(接触角θ)は、水ー空気、基板ー空気、水ー基板の仲の良さで来まる」ということですね。基板上を水滴がヒタヒタと広がるときも、ずっとθは一定に保たれます。



なので、基板が傾いたりして水滴が角部まで達した瞬間にもθはこんな風に保たれているはずです。

$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-角到達









では、角部に達したあとも、どんどん水が供給されるとどうなるでしょう?
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-はみ出し

アメリカンアニメみたいに、こんな風に空中に浮いてることはありえませんよね。


$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-直落ち





逆に角部に達した直後にジャブっと垂直部を伝って落ちることも考えられません。







そう考えると、
理屈はよくわからなくても直観的にこんな形が出来ていそうと想像出来ます。
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-ピニング踏ん張り

つまり、水滴は押されるので角部をはみ出しますが、そこで膨らんだまま踏ん張って下へ落ちることはありません。




このはみ出しの形がこうなって、垂直部の緑の壁を基準に見たときの角度が水平面のとき出来ていた接触角θと同じになると、水滴は垂直部の壁を濡らすことが出来るのではないでしょうか?
ここが踏ん張りの限界です。
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-ピニング限界








限界を超えると、当然水はこぼれます。

$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-ピニング破壊

はい、お疲れさまでした。
ここまでお付き合い頂いた読者の方に感謝します。

前にも書きましたが、この図がどの程度正しいかは私にはよくわかりません。
でも、ロジックと直観の積み重ねである程度の想像図は描くことができます。
そしたら、あとは実験で確認すればいいんです。

実課題でこんな図を描いたときも、角部の形状を変えた実験をやってみると効率が格段に向上することがわかりました。

いきなりディープな事例になってしまいました。そろそろどこかで物語イメージ法の全体像について説明しないといけませんね。それはまた後日。