みなさま、ごきげんよう。
今回は、ドラマ
「anone」
を紹介したいと思います。
「anone」は、
2018年1月~3月に放送されたドラマで、
脚本は数々のヒット作を手掛けた天才・坂本裕二さん、
主演は
広瀬すずさんと田中裕子さん、
共演は
小林聡美さん、阿部サダヲさん、瑛太さんです。
坂本裕二さん作品としては、
芦田愛菜さんが一躍スターになった「Mother」、
満島ひかりさん主演の「Woman」に続く
女性三部作の第3作です。
前2作から引き続き田中裕子さんが出演しており、
タイトルのanoneは、田中裕子さんの役名です。
また、
主演の広瀬すずさんは、ベリーショートの髪型が大きな話題を集めました。
「anone」は、
説明が凄く難しいドラマです。
ストーリーを簡単に言うと、
偽札に導かれて出逢った、年齢も性別も異なる4人の孤独な男女が、疑似家族として固い絆で結ばれていく
という話なのですが、
それだけでは言い表せない深い物語があります。
敢えて説明するなら、
「幸せになりたくてもなれなかった人たち、幸せになることを諦めた人たちが、やっと見つけた小さな幸せを必死で守ろうとする物語」
だと思います。
切なくて美しいストーリーで、
見終わった後に優しい気持ちになれる、
そんなドラマです。
「anone」は、
脚本・キャスト・映像・音楽の全てが完璧な作品です。
主演の4人、広瀬すずさん・田中裕子さん・小林聡美さん・阿部サダヲさんの演技は本当に素晴らしく、
特に、広瀬すずさんの演技は圧巻です。
広瀬すずさん、田中裕子さん、小林聡美さん、阿部サダヲさんが演じる主人公4人は、
それぞれが、想像を絶する程の不幸な現実に直面しています。
広瀬すずさん演じる辻沢ハリカは、
子供の頃に発達障害が原因で親に捨てられ、預けられた施設では虐待を受けていたという過去を持っています。
そして現在は、特殊清掃員をしつつ、ネットカフェに寝泊まりしており、
長い間、布団で寝た経験もない、ホームレス少女です。
そんな壮絶な状況にいるにも関わらず、
心は純粋で、誰にでも優しく、自分の幸せより他人を優先してしまうような性格です。
田中裕子さん演じる林田亜乃音は、
夫と不倫相手の間に出来た子供を、自分の子供として育て、
深い愛情を注いできたにも関わらず、本当の親子じゃないと拒絶されてしまった女性です。
小林聡美さん演じる青羽るい子は、
夫・息子・姑から酷いモラハラを受け続け、家庭に居場所が無くなり、家出をしてしまった女性です。
阿部サダヲさん演じる持本舵は、
経営していた飲食店を、親友だと思っていた男に騙し取られ、
更に、末期ガンで余命宣告されてしまった男性です。
4人全員が、人生のどん底のような、不幸な状況に居ます。
ですが、この4人が凄いのは、
そんな状況にも関わらず、自分を犠牲にしてまで、人に優しく出来る人たちだということです。
本当は誰よりも辛く苦しい筈なのに、自分を犠牲にしてでも、人に優しく出来る人たちを描いたのが、
この「anone」というドラマです。
脚本は、
「Mother」「Woman」「カルテット」「最高の離婚」「わたしたちの教科書」「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」などの
大人気脚本家・坂本裕二さんです。
坂本裕二さんはセリフの素晴しさで有名ですが、今回の「anone」は本当に名言の連続で、ドラマ全体が名言集みたいです。
「anone」のストーリーは、
坂本さんの特徴でもある、非常に考えさせられる内容ですが、
凄く重いのに、見ていて全然暗い気持ちにならないのが不思議です。
映像や音楽も含めて凄く幻想的で、
まるでファンタジーを観ているような気分になります。
何より、弱い者に対する徹底した優しい目線が、このドラマの最大の魅力です。
見終わった後は、きっと優しい気持ちになれると思います。
そして、
広瀬すずさんの演じる主人公・ハリカのキャラクターが本当に魅力的です。
19歳までの人生で一生分の不幸を体験して、仕事は過酷で家も無いような生活をしていたにも関わらず、
物凄く純粋で、優しすぎるくらい優しい心を持っています。
この、「若干19歳にして人生を諦めている反面、驚くほど純粋で、優しすぎるくらいに優しい」というキャラクターは凄く魅力的で、
演じる広瀬すずさんの演技力も相まって、
観ていて絶対に幸せになって欲しいと思えます。
「anone」は、音楽も素晴らしいです。
作曲は、三宅一徳さんが担当しているのですが、
特にサンポーニャ(多分)の使い方が神憑り的に素晴らしく、
一度聴いただけで心を奪われてしまうメロディです。
中南米民族音楽をモチーフにした楽曲や、メルヘンな雰囲気の楽曲が印象的です。
特に、
テーマ曲である「青の時代」や、「Heart Reef」「永遠と刹那」という曲が素晴らしいです。
「anone」の楽曲は、現代音楽として最高レベルの完成度だと思います。
また、映像も素晴らしいです。
青みがかった映像で、
ドラマのファンタジックで切ない世界観を際立たせる、
幻想的で美しい映像です。
ドラマ本編に関しては、広瀬すずさんの演技が大きな見所です。
中でも、
第9話での、病室のシーンでの演技は、言葉が出ないくらいに凄かったです。
また、
最終回での、瑛太さんとのシーンでの演技も凄かったです。
このシーンでは、台詞のインパクトも凄まじくて、坂本裕二さんがこのドラマに込めた思いが凄く伝わってくる台詞でした。
「anone」は、
観ていて辛くなるような、胸が張り裂けるようなシーンの連続で、本当に重い作品なのですが、
その全てが、最終回で昇華されます。
最終回を観たら、きっと、今までの辛い物語は全て、この結末の為にあったんだ、と思えるはずです。
このドラマほど、最終回まで観て良かったと思えるドラマは他にありません。
そして、
「anone」ほど、賛否両論が極端だった作品は、今まで無かったと思います。
(批判する人は自分にとって都合が悪いことには目を背けて批判するので、スタッフさんキャストさんは本当に大変だったと思います)
第1話で、主人公が「19歳の美少女である一方、天涯孤独で特殊清掃業に従事するホームレス少女」と分かり、引いてしまった人も多かったと思います。
また、「こんなに不幸な状況なのに人に優しく出来る筈がない」と思う人も多いかも知れません。
このドラマで坂本裕二さんが伝えたかったのは、おそらく、
「どんなに辛い状況でも、例え嘘だらけの世界でも、心の美しさは変わらない」
という事だと思います。
例えどんなに批判を受けても、
弱者に対する優しい目線
を貫き通した所に、
坂本裕二さんの強い想いを感じます。
「anone」は、
日本のドラマ史上ベスト10に入る作品だと思います。
そして間違いなく、10年20年残るドラマだと確信しています。
その証拠に、
世界最大の国際テレビ番組見本市である「MIPCOM 2018」でグランプリを受賞しました。
ぜひ、多くの人に観て欲しいドラマです。
最後まで読んで戴き、ありがとうございました。
楽しんで戴けていたら嬉しいです。
In case I don't see ya, good afternoon, good evening, and good night!
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