むかしから未来へ No.10 最終回 | ぎんgのおしゃべり

ぎんgのおしゃべり

とぼけた坊やとマムのひそひそばなし

やはり おめでた だった。つわりが酷くて起き上がれない。吐いてばかりで寝たきりになった。それでも竜くんの夕食だけは作った。

ある朝、不思議にも悪心が全くなくなってしまった。おっぱいも張ってない。「変」だと思った。嫌な予感がする。

病院に行ってみたが異常はなかった。次の日、出血した。全身が強張った。運が悪く日曜だった。主治医が居なかったため帰宅させられた。出血がどんどん酷くなり、痛みが15分刻みにやってくる。病院に連絡したが、他の医師は手術中で診られないため、暫く自宅で様子をみてくれと言われた。

夜11時頃、痛みは増していき とうとう5分刻みに激痛が襲う。レバーのような血の塊がたくさん出てくる。「もう、だめだぁ。竜くん諦めて」と言うのがやっとだった。ついに1分刻みになったとき・・いきんでしまった。救急車に乗るとき 血の塊 をハンカチに包んで持っていった。主治医が救急口で待機してくれてたが、もう痛みはなかった。

主治医は「一人でお産しちゃったんだよ。すごく痛かったでしょう?流産です。産道に赤ちゃんが引っかかってるよ。お母さんに会いたかったんだね」と言って取り出した。ハンカチの血の塊は胎盤の一部だった。主治医が竜くんを呼び「流産でした。あなた方の赤ちゃんです」と銀のトレーに入れられた我が子に会った。てのひらにも満たない小さな 男の子 だった・・あたしが泣く前に竜くんが突然「わあああ」と叫びながら号泣した。瞬間、主治医が「奥さんはあなたの何倍も辛いんだ。流産は分娩より痛いんだよ」と怒鳴った。我が子を抱っこして「ごめんね」と言って別れた。手術が始まった・・。

麻酔から醒めると 夢だったのかな? と思ったが現実だった。赤ちゃんを連れて帰りたかったが「未練がお互いに残るから止めた方がいい」と主治医に諭され、あたしたち夫婦は主治医の言うとおりにした。竜君と抱き合って泣いてしまった。

もうひとつ、ショックなことにあたしは 妊娠しにくい身体 だと診断された。


・・・一年後、また悪心の朝を迎えた。妊娠した!

しかし、「流産」という言葉が頭から離れなかった。怖くて仕方がなかった。赤ちゃんの産着すら準備しなかった。ムダになってしまう気がしたからだ。会社の先輩たちが内緒で準備してくれた。あたしは流産の時に備えて入院の準備をしてた。

ただ、赤ちゃんの名前だけは真剣に考えた。名前を考えると希望が湧く。流産の悲しみが身体に染み付いてたのか、あたしと竜くんは男の子の名前ばかり考えてしまった。男なら「緩之丞(ゆるのじょう)」女なら「るる」に決めた。なんかピンと来ない・・

臨月の頃、男なら「吟朗(ぎんろう)」が候補にプラスされた。


とうとう、男の子を出産した。赤ちゃんの顔を見て抱いた瞬間 「吟朗」 という名前がぴったりな感じがした。竜くんに「吟朗」だと伝えてくれるように看護士に頼んだ。気が変わらないうちにその日に出生届けをだした(笑)


そして、吟朗が3ヶ月のとき 夕食の片付けをするため竜くんに子守をたのんだ。竜くんは自宅の階段で転び 吟朗が下敷きになった。

吟朗は顔面蒼白・意識なし・呼吸が止まってる。

レスキュー隊がきてくれ応急救護をした。救急車で搬送された。硬膜下血腫(こうまくかけっしゅ)と診断された。(チュンサンと同じといえばわかる方が多い)

吟朗は緊急入院した。そのときのベッドは父が他界した時の場所だった。きっと助からない。絶対に助からない。そう考えてしまうほど容態が悪かった。不安が的中しないように祈るしかなかった。

医師たちの動きが慌ただしい。機械だらけの小さな身体はピクリとも動かない。機械がピーピー鳴るたびに医師が走る。そのたびにビクビクしてしまう。

医師から「意識が戻らないかもしれない」と告げられた瞬間、泣き叫んで半狂乱になってるあたしは廊下に放り出された。警察も来た。簡単に事情を聞かれたが事件性がないとみて帰ったようだった。

・・・・2時間後小さな声で泣いてくれた。・・・よかった・・・生きている!!

極度の緊迫感のせいで、おっぱいが出なくなってしまった。飲んでくれる子が居なくなったみたいに感じた。生きているのに・・不安で不安でおかしくなりそうだった。

不安は的中した。頭に穴を開ける手術のプランがでた。危険な手術なので経過観察が優先された。

吟朗の生命力は力強かった。驚く事に 経過がよく退院できた。


それ以降、竜くんは人が変わったようになり あたしに馬乗りになり暴行をしたり、酒に溺れた。仕事だけは真面目に行ってたが、73キロあった体重が58キロになった。様子がおかしいので、専門医を必死に探し 竜くんと話し合った上で受診させた。

アルコール依存症・うつ症状と診断された。絶望した・・。どうしたらいいんだろう?

竜くんと長い時間 話し合った。やはり、吟朗のことで苦しんでいた。あたしはあっさり言ってやった。「あんただけが苦しいんじゃない。あんただけが悪いんじゃない。あの時あたしが、おんぶして皿洗いをやればよかった。あたしは竜くんを恨んでないし、責めてないよ」竜くんは「今までごめんね」と詫びてくれた。その日から酒をきっぱりとやめた。禁断症状で暴れて怖かった。とても苦しがってたが、症状が出ている間ずっと抱きしめた。それしか、あたしにはできなかった。

竜くんが嗚咽をもらしているのを 吟朗をおんぶしながら何度も聞いた・・

だんだん、安定してきて禁断症状がでなくなり、うつの症状も消えた。治癒するのに6ヶ月で済んだ。

そして、自信をつけてもらおうと 誰にも頼らず新築マンションを購入した。

戸建はあたしの名義。竜くんの城がない。城を持たせたかった。竜くん20代の新春のころだった。

あれから3年。

竜くんは 本当に酒をやめてすっかり下戸になってしまい、今では1%ビールも飲めない。

吟朗は 元気に成長してる。脳のダメージが大きかったが生後3ヶ月だったので、ある意味救われた。脳が成長するからだ。但し、定期的に検査をしている。1年前に検査のプログラムで IQが高い事がわかった(笑)

IQが高くても後遺症で苦しむなら意味がない。いつも笑って、元気に走り回ってくれればIQなど どうでもいい(笑)

吟朗は去年の冬に ジョンフンに憧れてしまった。

ジョンフンのマネをして歌を歌うのがマイブーム。カラオケでは必ず「シリウス」を歌い ライブのマネをしてくれる(笑)最近では ジョンフンのブレスと裏声がネタだ(笑)

竜くんは 変わらず「他人の事は 気にならない」を貫いてる。

あたしは、ふざけ半分で家族の中心にいて いつも笑ってばかりいる。


恋愛は人を 大人にします。

育児は人を 強くします。


・・・・・おしまい・・・・・



あとがき

長文 連載を読んでいただきまして ありがとうございました。

自分の話なので恥ずかしいです。

脚色ナシって きつかったです。韓ドラチックでしたでしょうか?

よろしければ感想をきかせてください(笑)

お友達などに紹介してください(笑) どんな反応があるかな(笑)


すぺしゃるさんくす

記憶の助っ人が必要でした。思い出を思い出してくれました。

Ryoくん!ありがと→夫です

私の坊や!PC開いてばかりでごめんね・・ふぇっふぇっふぇっ

そして、長々と読んでくださったみなさん・・・ありがとうございました。

これからも 仲良くしてください。