TMAXは、本当に…不思議なマシン。

世界的に見ても、とても独創的で稀有なマシンのような気がします_(^^;)ゞ。

なにが?って…

ゆっくり解説していきますね。


【そのベース性格は…スポーツツアラー】

YAMAHAがこのマシンを、FJR1300、TRACER9 GT、NIKEN GTと並んで、そのモデルラインナップの中で、「長距離の巡航性能を重視し、優れた快適性と居住性を兼ね備えたツーリングモデル」…つまり「ツアラー」として分類していることからも解るように…

このマシンは「ツアラー」が、土台となるベース性格なんですよね。
(7型)

それは誕生以来…ずっと変わらない。

TMAX開発がスタートした1990年代後半、当時…爆発的に売れていたSCOOTERと言えば、250ccのMAJESTY。

TMAX開発プロジェクトは、「MAJESTYの高速巡航性能…強化版(ツアラー)を創る」というところからスタートしており、追加的に…

「類い稀なスポーツ性も同時に合わせ持たせる」

「スクーターでYZF-R5を開発する気概で臨む」

と、スポーツ性も追加でコンセプトに加えられ、「ツアラー」と「コーナリングマシン」という、本来なら相反する性格を、スクーターという車体の中で同時に両立しに行こうとしたのがTMAXの開発の始まり。

ちょうど同じ時期にSUZUKIが、SKYWAVE250の高速巡航性能強化版(ツアラー)として、SKYWAVE650(純クルーザー)の開発に入ろうとしていた事も、YAMAHAがTMAXにスポーツ性を合わせ持たせようとした背景にあるのかもです。つまり「差別化を図ろうとした」って事です。

TMAXを理解する上で「こいつのベース性格はツアラーなんだ」ということを知っておいてもらうことはとても重要。そこを出発点にしないとTMAXは理解しにくいと思います。
(6型)

TMAXはツアラーと言っても「2人乗りで高速道路主体に、10日間で3000kmの国境横断的なBike旅に出る」というような…ヨーロピアンツアラーのFJR1300とは違う感じのツアラー。

どちらかというと狭い国土🗾日本のBike旅に向いたドメスティックツアラーだと思う。

FJR1300は、ヨーロッパの120km/h超、場合によっては200km/hに迫るようなハイスピードツーリングに向いた設計を施されていますが、

TMAXはそんなハイスピードツーリングを前提にして創られていない。

TMAXは、60~120km/h域ぐらいをスイートスポットにした設計で、最高速はメーター読みで175km/h強(GPS実速で165km/h)位までは淀みなくなく出ますけど、けしてハイスピードを常に出すBikeとしては設計されていない。

CVTセッティングの関係から120km/hを超えると急激に燃費が悪くなり、最高速エリアでの燃費は、9km/Lなどと…クルマ並みの燃費になってしまう。

最高速域(メーター読み175km/h)で巡航したら、エンジンも相当頑張ってぶん回っている状態になりますし燃費も極悪😆💣️✨

出ることは出るけど…ハイスピード域はTMAXが常に棲む世界ではないですね。

国内の一般的な速度域が、TMAXが心地よく住める世界って感じです。

その代わり、60~120km/hのクルージングやスポーツ走行は、燃費面も含めてものすごく楽しく快適😃✌

その速度域にターゲットを完全に絞ったようなCVTミッション設計になっています。

日本の高速道路でのクルージングは、極めて快適です。FJR1300並みの大型風防を備え、ライディングポジションも快適で、速度も…燃費を無視すれば150km/h巡航ぐらいまではふつうに快適に出ますから…

「こんなに高速クルージングが快適で楽なBikeも珍しいな😉✌」

と思えるぐらい…日本の高速道路でのクルージングは快適です。

その上で、ここからがドメスティックツアラーとしてのTMAXの本領発揮です。

日本の国土の約75%は山岳地帯が占めます。当然ながら、山岳地帯の中には、こういう細道が山ほどあるんですよね。
こういうところに怖くなく自信を持って入っていけるのが、ツアラーとしてのTMAXとFJR1300との大きな違いです。
車重の違い、ホィールサイズの違い、低重心さの違い、ミッションがATである事、滑りにくいマイルドパワーである事、Uターンのしやすさ等々…TMAXの良さが思い切り出てきます。

そう!こういうところに怖くなく入っていけるのが、TMAXの…ドメスティックツアラーとしての大きな美点です。

「そんなところ行かなきゃ良いじゃん😅!」と思うかもなんですが、日本でBike旅に出ると、意外と…こういうところ多いです。
特にCMで使われるような「マニアックな絶景スポットに行ってみたい」と思うと、こういう道も入っていかないといけない事が多いです。
(5型)

その先に絶景が待っていたりしますからね。
TMAXのツアラーとしての良さ。それはヨーロピアンツアラーのFJR1300のように、200km/hなどの超ハイスピードクルージングはできないけど、

大型スクリーンと楽なライディングポジションと大型シートとスポーツATのお陰で…
(7型のシート)

80~140km/h程度のクルージングなら鼻唄気分で超~快適にでき(120km/h超は燃費悪いけど)、
(5型のスクリーン)

そして何より、高速道路を降りた後の機動力(取り回しを含め)が抜群に良い! それはふつうのいわゆるツアラーと比べて…圧倒的レベルってところが、他には代えがたいほどの大きな長所です。
結局、TMAXだと日本中の山奥へ怖がらずにガシガシ入っていける…♨️秘湯だって、秘密の絶景スポットだって、どこへでも、行きたければ怖くなく訪ねて行ける…というところが、こいつのすごいところです。
荒れた道や苔むした酷道に遭遇したときなどに、違いが大きく出ると思います。

広大なシート下トランクを備え、荷物が快適に携行できるポイントもとてつもなく大きいです。
(7型のトランク)

「それは、リアボックス着ければ良い話なんじゃないの(・・?」

って思うかもなんですが、リアボックスと、シート下トランクの使い勝手は全然違います。

これは使ってみないと分からないかもですが、その快適性は全く別物ですね。

重いモノを入れた時に、重心が上がらないのも、シート下トランクの大きな美点。

必要あれば、TMAXはさらにリアボックスも装着できる。そうすると、もう両手では持ちきれないぐらいの荷物が携行できるようになります。

BIKEツーリングとは思えないぐらい荷物を…携行できることにきっと誰もがびっくりすると思う。

リアボックスを…装着せず、ちょっと仲間と朝練で走りに出よう!というような時にも、レインウェアを気軽に携行できたり、道中で思い付きの買い物ができたりするのは、やっぱり快適です。

雨降ってもブーツが濡れにくいのもいいです。フロント大型スクリーンを含めて、耐候性は最高にいいですね。

以上がツアラーとしてのTMAXの話。


【稀有なコーナリングマシン】

TMAXはツアラーとして…よりもこっちの方が、その特徴として良く言われる気がしますが…
(4型)

うん!SSを除く一般的なストリートバイクとしては、マジで希に見る稀有なコーナリングマシンです。

それは、このTMAXのフレームを見ればある程度分かると思います。
(4型のフレーム画像)

本当にコーナリングが🍀😌🍀気持ちいいです。
(5型)

なんとなく感覚が伝われば…と思って、誤解を恐れずにユーザー感覚をstraightに書くと…

😐️うーん、たった46~48馬力程度の非力なマシンなんですけど、感覚的にはパワーで速いと言うより車体で速い!という感覚で、

タイトなワイディングロードでは、SS以外には正直…負ける気がしない_(^^;)ゞと言うのが、誤解を恐れずに書く正直な感想です。

そういう感覚、同じ僕がXJR1300に乗ったら、全く抱けません(爆)!

結局、公道においての、ある一定排気量以上のBikeで「そのマシンが速いかどうか?」は、排気量よりも「アクセルを開けれるかどうか(・・?」で決まるような気がします。ちょっとそこら辺がサーキットとは違う気がするんですよね。

サーキットと比べ、公道は荒れています。先行き読めないことも多い。いざとなったら急停止や急回避もしないといけない。

道が荒れていると、コーナリングやブレーキングにやっぱり不安を覚えるから、トップスピードを出しにくい。

また、先行き読みづらいので、いざとなったら急停止や急回避しないといけないと思うと、当然…アクセルを開けづらくなりますね。

ここら辺、TMAX530だと…

道が荒れていても、異例の低重心が効きまくって、TMAX530は本当に怖くないんです。

そもそもTMAXは速度感が極めて希薄で、スピード出している感覚が薄いから怖くないと言うのが、土台としてあるんですが…

それに加えて、異例低重心さで、多少タイヤが滑ってもどうにかなるだろう…とても感覚が強い。

それと、普通のオートバイの17インチホィールと比べてやや小径なTMAX530の15インチホィールは、グリグリとした旋回力がすごい為、コーナーに突っ込んで行っても、そのコーナーをクリアできる自信を強く持ちやすいです。怖くなくコーナーにガンガン突っ込んで行ける。

「走ってて怖くない⏩️アクセル開けれる」って感じなんですよね。

また、公道は先行き読みづらい、いざっとなったら急停止や急回避しないといけない…事に関しても…

TMAXは、先ほどの異例の低重心さと15インチホィールの組み合わせで、急停止や急回避がものすごく得意です。

その面でも、「走ってて怖くない⏩️アクセル開けれる」って感じなんですよ。

この異例の低重心がどれだけ威力あるか?と言うと、ふつう…時速90km/hから前後ABSを作動させるほどいきなりフルブレーキングするのはある程度怖いと思うんですよね。

ところが…TMAX530はこれがそんなに怖くない。必要に迫られて、何回もやったことありますけど全く怖くない。

低重心+15インチなので、突然の急回避もものすごく得意です。

おそらくそう言うところから、TMAX530はスピード出しても怖くないマシンって感じなんですよね。怖くないからアクセル開けれる。

1000ccBikeのようなドッカン💥加速は無いけれど、TMAX530だって、あっという間に120km/hぐらいまでスピード出ますからね。

走ってて怖くない⏩️アクセルを開けれる⏩️結果、相対的に速い!

TMAXが公道ワイディングで速い理由は、たぶん、そんなところなんじゃないかな(  -_・)?と思っています。

これが車体で速い!といわれる正体だと思う。

そして、「怖くなくアクセルを開けれる」から、それが「楽しい😃💕」につながる感じです。

タイトなワイディングになればなるほど、道が荒れれば荒れるほど、こっちのアドバンテージを…より一層高まっていく感じです。

ふつうのMT BIKEではあり得ないほどの…異例の低重心さと、やや小振りな15インチホィールが生み出す旋回力のアドバンテージ、そして変速ロスなくシームレスなパワーとトルクの伸び、ブレーキングとハンドリングに繊細に集中させてくれるスポーツATのアドバンテージ。ここら辺はアドバンテージとしてかなり大きい気がします。

そして車体バランスとチューニングの良さも秀逸です。そこら辺はまさにハンドリングのYAMAHAの世界。
(4型と3型)

誰もが「ハンドリングのYAMAHA」を…深く実感できると思います。
(5型)

これはシリーズ共通。TMAXの名前の由来は、Technology Max⏩️TechMax⏩️TMAXだと言うのは、良く知られている話ですが「んじゃ…何のテクノロジーがマックスなのか?」は、YAMAHA自身は公式には語っていない。
(初代1型)

でも、僕も1型、3型、4型、5型、6型…それにほんの少しだけこの前7型に乗ってみて思うのは、たぶんですけど、「ハンドリングのYAMAHA」としての、YAMAHAの持てるチューニングテクノロジーが最大限(Max)注ぎ込まれているんだと思う。
(4型)

初代TMAX開発者も、その開発秘話で…

「SCOOTERの車体構成でYZF-R5を本気で創ろうと、本気で臨んだのがTMAXです」

とかつて語っていましたが、うん!…MAXとは、ヤマハの本気…って事なんじゃないかなと思う。


【アーバンモビリティ/コミューター】

最後に、SCOOTERですからね_(^^;)ゞ。そりゃコミューターとしての性能ももちろん持ち合わせています。
一応、通勤&通学、スーパーへの買い物号、日常の雑用の足としてもクルマのように十分使えます。(晴れていれば…ですけどね_(^^;)ゞ)

スーパーに行けば、大型レジ袋いっぱいの荷物がトランクに余裕以て収まる。リアボックスを装着して行けば、両手いっぱいの大型レジ袋の買い物がTMAXに収まります。
街中で乗り回している感覚は、オープンカーをさらにもっと開放感に満ちたモノにした乗り物…って感覚です。

僕もよくTMAXでAEON MALLにあらゆる買い物に行きます。Bikeで行った方が爽快で早いですからね。

でも、街中で乗り回すには、完全にオーバースペックです😆💣️✨

高価なタイヤを履いていますし、単価の高い良いオイルも入れている。消耗Partsは高い。

渋滞も…250ccビグスクと比べてやや苦手とするTMAX530。(すぐにファンが回っちゃう)

そんなTMAXを街中でゲタ代わりに乗るのは、相当贅沢な乗り回し方と言え、コスパは良くない気がします。

ただ、通勤でTMAX乗っていらっしゃる方は、けして少なくないので、可能は可能ですね。



【まとめ】

そんなマシンなんですけど…

基本は快適かつ機動力抜群の「ツアラー」。
にもかかわらず抜群の「コーナリングマシン」。
そして利便性も高い。
そして、そのどれもが一級品。


こんな組み合わせは「ふつうあり得ない!」というか、相反する項目ばかりで、このミックスは、なかなかふつう成立しないと思うんですけど…

でも、TMAXは3つを両立させてしまった。

そしてツーリングに出てみるとよく分かるのですが、ツーリングに出てみると、ツアラー/コーナリングマシン/コミューター…この3つの要素が揃っているととっても快適で楽しい😃💕んですよね。
長く走って疲れない。ツーリング先でのコーナリングも楽しみたい!そしてツーリング先で観光も買い物などの快適なゲタ(コミューター)にもなってもらいたいし、ちょっとした冒険もしてみたい!…

この3つが揃っていると、とってもツーリングが楽しい😃🎶んです。

加えて、日常生活の足としても使えるのはいいですね😃✌

これを普段のゲタとして常用するのはコスパ的にどうかな?とは思いますけど、それでも、日常生活のちょっとした雑用移動を…クルマからTMAXに変えるだけで、平日の日常生活が光輝いてきます。交差点の右折1つとっても、そこにリーンがあり、Bikeを楽しめる。

ちょっとふらっと♨️温泉に行くのにも最高ですしね。

TMAXのある生活は、本当に楽しい😃💕です。
ちょっと値段高いけど、高いだけのことはあると思いますヨ(^-^ゞ!

このマシンにネガがあるとしたら…

(1)速度感が無いことが挙げられるかも。「え?80km/h?90km/h?」「いつの間にそんなスピード出てたの…Σ(Д゚;/)/?」って感じのマシンなので、スピード出しても「速く走っている!」「スピード出した~⤴️」って満足感が希薄です。

この「スピード感がない事」が、ワイディングで怖くなくガンガン…アクセルを開けて攻めれる理由の1つだとは思うけど…)


(2)刺激少なめの走行感も挙げられるかも。ちょっと朝練で走ろう!っと近場を100~200km走っても、薄めの乗り味なので、なかなかお腹いっぱいにならないかもです。

ツアラーとして、刺激少なめの疲れにくいマシンになっているので、100~200kmぐらい走っただけでは「いやぁ…今日はBikeに乗ったなぁ~⤴️満足満足🈵😃✨」ってなりにくいんですよね。もっと走りたくなってしまう_(^^;)ゞ。


(3)マシンに慣れるのに少し時間がかかるかも。これはネガ…と言うより慣れの問題なんですけど、一般的なMT車から乗り換えの場合、SPORT SCOOTERはちょっと独特の乗車感覚で、これに慣れるのに少し時間がいるかもですね。

ニーグリップできるタンクが無いですから、まず最初にマシンホールドに戸惑うと思います。

また、通常はクラッチである左手がリアブレーキですから、そこも身体の慣れがいるかもです。


(4)メンテナンス箇所が独特で戸惑うかも。

例えば「TMAXには定期交換すべきエアクリーナーが3つある」と言ったら、MT車乗りの方/Scooter乗りの方を問わず、かなりの方が驚かれるのではないでしょうか。そうなんです…TMAXには2万km/毎に交換すべきエアエレメントが3つあります。そういう事…YSPの方でも知らない人多い。TMAXはそんなに台数売れるマシンではないですからね_(^^;)ゞ。

あとは「2万km/毎にセカンダリーシャフトスプラインのグリスUP!をする必要がある」って言うのも、MT車乗りの方/Scooter乗りの方を問わず、「はぁ?なにそれ(  -_・)?」って感じだと思うんですよね。MT車はもちろん、一般的なスクーターにもないメンテナンス項目です。

愛車の健康管理の責任者はオーナーですから、こういう事をオーナーは把握していないといけない訳ですけど、そういうTMAXならではのメンテ項目があります。そういうのは、TMAXが滅多に売れないマニアックな車種なだけに、ディーラーよりもマニアの方が詳しいと思う。なので、TMAXマニアから情報収集した方が早いですね。

(5)これはネガなのかどうか?判りませんが、維持費は立派に大型Bikeです。「たった500~560ccだから、800ccとか900ccあるような大型Bikeと比べて維持費は安いだろう」というような、排気量で維持費を推察するような感覚は、すぐに打ち砕かれると思います。維持費は一般的な大型Bikeと全く変わらない。

タイヤは特殊サイズのラジアルで高価です。2万km/毎に高価なVベルトやエレメント交換や各種グリスUP!はしないといけませんし、とってもオイルグルメなマシンで、良いオイルを使っていく必要があります。

そんな感じなので「たった500~560ccだから、800ccとか900ccあるような大型Bikeと比べて維持費は安いだろう」ということは無いです。

そんな感じのマシンですけど、世界を見渡しても独特なワールド持っている珍しいマシンだと思いますし、とてもManiacな…楽しい😃🎶マシンです。

もしよければ、いつかぜひ😉✌


ちなみに、TMAXは今年で20周年。歴代のモデル変遷は、このサイトがとても分かりやすいです。


https://bike-lineage.org/yamaha/tmax/tmax.html