Novel
scherzando(スケルツァンド) ∧ legatissimo(レガティシモ)
Author(著者) : Hiroki Furuie
(※本作品は、あくまでもフィクションです)
~~~登場人物~~~
★新家 深哉(あらいえ・しんや):31歳
、、、熊本県出身。九州大学医学部卒(脳外科医)
、、、趣味「ピアノ」
☆新家 和俊(あらいえ・かずとし):61歳※深哉の父親
、、、熊本県出身。外装工事(サイディング)の自営業
☆新家 百合花(あらいえ・ゆりか):58歳※深哉の母親
、、、熊本県出身。自営業の経理担当
☆新家 雄大(あらいえ・ゆうだい):32歳※深哉の兄
、、、熊本県出身。自営業の社員
☆現川 風香(うつつがわ・ふうか):27歳※深哉の恋人
、、、福岡県出身。専門学校卒(美容師)
☆現川 聖心(うつつがわ・せいしん):25歳※風香の弟
、、、福岡県出身。高卒(電器店勤務)
★間宮 倫太郎(まみや・りんたろう):31歳
、、、大阪府出身。大阪大学医学部卒(皮膚科医)
、、、趣味「フルート」
☆間宮 颯太(まみや・そうた):28歳※倫太郎の弟
、、、大阪府出身。専門学校卒(救急救命士)
☆藤平 麗(ふじひら・うらら):31歳※倫太郎の恋人
、、、京都府出身。高卒(登録販売者)
★皇 斗真(すめらぎ・とうま):31歳
、、、東京都出身。東京大学医学部卒(内科医)
、、、趣味「バイオリン」
☆皇 果歩(すめらぎ・かほ):27歳※斗真の妹
、、、東京都出身。専門学校卒(管理栄養士∧ライバー)
☆皇 正一郎(すめらぎ・しょういちろう):64歳※斗真の父親
、、、東京都出身。東京大学法学部卒(弁護士)
☆輪千 雪音(わち・ゆきね):33歳※斗真の恋人
、、、神奈川県出身。神奈川大学法学部卒(司法書士)
◎湯浅 秀吾(ゆあさ・しゅうご):60歳
、、、熊本県出身。熊本大学医学部卒(精神科医)
●唄 藍聖(ばい・あいせい)
、、、深哉の友人(だった)
●唄 光咲(ばい・みさき)
、、、藍聖の妹さん
●三尋木 煌波(みひろぎ・こうは):31歳
、、、三人の主人公の友達。
、、、千葉県出身。Oxford大学薬学部卒(薬の研究開発)
●三尋木 圭(みひろぎ・けい):58歳
、、、千葉県出身。MIT(マサチューセッツ工科大学)卒(発明家)
●淋 マリッサ(そそぎ・Marissa):39歳
、、、Arizona(アリゾナ)州Phoenix(フェニックス), U.S.A.出身(英語教師)
▲篠本 健介(しのもと・けんすけ):42歳
、、、斗真の知り合い。レストラン『元祖たまねぎや』の料理長


短編小説集:scherzando & legatissimo:Op.18
 
〝職業に貴賤なし←これ真実なり〟

 (Op.17の続き)
 深哉と風香夫婦(※いや、まだ結婚してないが)は、墓地を後にし、『うつつタウン・光の森:SEIHOシネマズ』へ向かう。道中、車の中で、ANDROID AUTO(※車にスマホを繋げて、ナビなども操作できるやつ)で《アメリカのAPP(アプリの略)のAudiobokks.comのEnglish books》を聞く。ながら運転と、ながら読書だ。二人は英語を理解できるのだ。もっとも、深哉にいたっては、+ドイツ語+中国語+少しイタリア語、だ。
本館のグランドフロア――つまり地上――に車を停める。今日はluckyな日だ。いつもは混んでるいから。それにしても、わざわざ屋上に車を停める人たちって…〝馬鹿と煙は高い所が好き〟とはよく言ったものだ。
 中に入り、先ずは『火ノ国屋書店』へと向かうため、階段を上る。深哉は「ね、風香。40とか50代とかの中年になっても健康なままでいたい?」との問いに、風香は「もちろん」と答え、「それなら、階段一択。エレベーターやエスカレーターば利用しよっと、足腰が弱くなっけん」と。(※深哉には可能だが、30を過ぎると、ほとんどの男性は冒険をしなくなる。階段からジャンプして着地といった、いかにも子どもがしそうなこと。「怪我したら仕事ができない」「そしたら家族を養えない」…怖くてできなくなるのだ。深哉はなんのその、である)
 本館2階の火ノ国屋書店。店内をあちこち歩き回り、物色する二人。
 風香「ね、シンくん。この占いのカードって誰が買うの?」と尋ねる。すると深哉は「ああ~、俺が買う(笑)」と。風香「え?」。深哉「俺、それ持っとるよ。けっこう前にここで買った」
 風香はいぶかしげに「なんで?」。。。そう、ガチガチの科学主義者で、何を隠そう外科医の深哉にマ・ツ・タ・クふさわしくないのだ。
 しかし深哉は「う~ん、俺も最初は馬鹿にしとったばってん、人生に絶望したり、自分に失望したりしてどん底に落ちて、そんな時にLenormand Card(ルノルマン・カード)に出逢って。それは同じ火ノ国屋書店でも、久留米店で買ったけど。それから恐ろしさば思い知って、でも、俗世間で〝悪魔のカード〟って呼ばれとるけん、オラクル(神託/神から託された、の意味)に切り替えた。こっちも的中率とか確率とかヤバすぎて」と語りだす。風香「医学と占いって相反する気がするっちゃね。よーわからん」。深哉は「いや、最近の医者は、占いとか信じるよ。沖縄じゃ〝ユタ半分:医者半分〟って言うし。そもそも高校生から統合失調症ば患って、それでも今こうして医者になれたのは、占いカードのおかげばい」
 風香「ふ~ん。そっか」と。たいてい、女性のほうが占いに興味関心を持ちそうなものだが、この夫婦は逆やな。
 風香は何か本を探している様子だが、見つからない。店内に「本探しの機械」は設置されているが、台数が1台で待たなきゃいけないし、検索にヒットしても、よく場所がわからないのだ。
 深哉「誰の、なんていう本?」風香「此見えまさん。彼女の作品は素晴らしかけん。『プラネーツ出版』の文庫本」
 魚は魚屋。肉は肉屋。本のことなら書店員に。深哉のほうは洋書のコーナーへ行き、『Katie Liaf』というミステリー作家さんの本を手に取る。深哉「マジこの人の本、おもしれ~けん♪」と風香に勧める。風香もお目当ての本が見つかったらしい。そうしてレジへ。
 …その後は1階に降り、、、深哉は5段目からジャンプして、、、レストラン街へ。『うめ亭』という和食店へ。
 そう、世間の一般的で典型的で平均的な人たちは、〝ディナー/洋食派〟だが、豊かなる者は〝ランチ:和食派〟なのだ。これは覚えておこう。
 再び二階に上がって、連絡通路を渡ろうとすると、なにかトラブっている模様だ。
 ハタチ前後の男性4人グループが、トイレ掃除のおばちゃんに『人間のクズ!』『負け犬!』『くっせ~』などと罵倒し、いじめているのだ。そこへすかさず深哉が割り込む。
 男性A「なんやぁ?おまえ」
 深哉「職業に貴賤はにゃーぞ?」 すると、男性Bは「あ?あるよ。こんな汚ね~職業、底辺がするもんやろが」。男性C「じゃ、おまえは何の仕事しよっとや?ああ?彼女の前でカッコつけて割り込んできやがって」と。深哉は「俺か?脳外科医」 すると……男性D「の、のう、、げ、かい…マジで?」などと、アタフタし始めた。深哉「医者は体力勝負。喧嘩なら負けんぞ? ちなみに心は脳が作っとって、お前らはちょい脳ばいじくってやったがええごたるね?」と笑いながら応対すると、連中はオドオドし、そのまま帰っていった。
 深哉「おばちゃん。大丈夫ですか?」
 おばちゃん「ええ、はい、、ありがとうね」
 深哉「いえ、ほんと職業に貴賤はありませんので。誰かがトイレ掃除をしてくれなかったら、皆が困りますからね。立派な仕事をされています。ありがとうございます」
 そんなこんなで、
 風香「ちょ!シンくん!映画始まっちゃうよ!」
深哉「げっ!急がなん!じゃあね、おばちゃん」
と、急いで通路を渡り、南館の3階へ上る二人。
『名探偵の江戸川新一』を見る予定だったが、間に合わず。たったの5分なのかもしれないが、せっかく観るからには最初から最後まで観たいのだ。そこで他の面白そうな洋画をチョイス。
二人は吹き替え版ではなく字幕版しか観ないのだが…
「字幕も要らないよね?」と言っている。。。
今日のテーマは〝職業に貴賤なし〟だ。
忘れるな。真実はいつも一つ!