どうしてだろう。
夕立はひどいし けふ(今日)も凄まじい落盤
どうしてあんなにひっきりなし
凍った汽笛を鳴らすのか
影や怖ろしい煙のなかから人がよろよろと現れる
(宮澤賢治「氷の未来圏」より)
夏の台風、または激しい集中豪雨と雷に、毎回この詩を何十年何千回と想い出した。
昨夜、久し振りに。
酒呷りながら、誦じていた。
それは氷の未来圏から現れる 戦慄すべき俺の影だ
予感。
そういうコトなのか?
ひどくひどく。
宮澤賢治の詩が頭のなかで繰り返される。
ドーブエ・・・ベネトナーシュ。ねぇ、あれは僕を呼んでいるのかな。ねぇカムパネルラ、カムパネルラったら(「銀河鉄道の夜」より)。
コオリノミライケン
それがどのようなモノなのか、判りはしないのだけれど、宮澤賢治の伝えたかったものは、何なのか。
ただ畏怖に近い感情を煽る何か。
戦慄すべき俺の影。
夜通し、浅く深く冷たく、ふりしきる雨。
しとしとではなく、、早い時間は正に、ひどい降雨。
深夜眠りにつきたく、でも、飛沫をあげる車のタイヤ音。
イヤが応にも眠りではなく、不快なそれに集中をしてしまう。
意外にもアタシの使っている精神薬は、微量だ。
数年前、抗鬱で呑んでいた処方は、1日分で掌いっぱいになるほどだった。
今は定番だけれど、デパスとベンザリンにて就寝。
他はルシオミールとレキソタンだ。
ソラナックスよりも軽く、効果の程は謎ではあるが、こうした神経薬は眠気を誘い、睡眠薬への依存を深めないでくれるから、ねぇ。
(そもそもソラナックスが軽度の処方だからね)
ここ数日の家での諍い。
眠れるのであれば、何にでも頼りたい。
夜中胃液で嘔吐すれども。
何度でも。
何度だって。
お薬の効く時間の差異重複で、アタシは闇の中、薄ぼんやりとまた、眠気を手繰り寄せ陥るんだ。
狂気を孕んだ夜、腐臭漂わせる夜の深淵。
科学的に組成された錠剤は、アタシのどこかに効いて、ひたすらに思考を奪う。
ロクに回転しない脳の何処かを、闇夜は完全に麻痺をさせるべく。
毎夜アタシは、白く又は微かに色づいて、丸く又は楕円であったりする最早、数えることをやめる量になった錠剤を、酒で胃に流し込む。
誰かと居る孤独は闇を従えて。
昨夜ベイビーとお話をしようとしたのだけれど。
ふふふ。
数・色・形多彩なる薬齎す作用で。
夜の漆黒からも、孤独からも、諍いからも逃げ。
ただ小さなる温もり(梅子)抱えて、眠りに落ちた。
昨夜眠りに落ちる直前、云われた。
憎いんでしょ?と。
憎い。うん、刺し殺してしまいたいほどに憎くて堪らない、と、以前告げてから云われるようになった。
仕方無いんだ。
好きという感情が強いほどに増幅するのが、憎しみなのだろう。
憎い憎い憎い。
繰り返しながら、至福であろうはずの眠りに梅子とついた。
もう半分薬に意識は連れて行かれながら、眠る前にまるで擦り込むかのように云われた「憎い」という言葉。
今年1冷える夜に温もりをくれる、唯一の梅子。
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首のマーキング。
怖いなァ。
酷く怠くて、何もかもがどうでもイイ。
嗚呼、眠い。




