9800万円詐欺容疑 

自称画家不起訴 釧路地検

北海道新聞 会員限定記事

(2023年12月13日 21:26(12月13日 22:49更新)

釧路市

 【釧路】釧路地検は、知人夫婦と共謀して虚偽の投資話を持ちかけ、道内の女性6人から現金計約9800万円をだまし取ったとして、詐欺の疑いで送検された住所不定、自称画家の男性(38)を不起訴処分とした。

処分は8日付。処分理由は明らかにしていない。

 釧路署によると、男性は逮捕時に「言われたことをやっただけ」と容疑を一部否認していた。また、地検は5日付で、男性とともに送検されたいずれも住所不定、無職の蔵前京子(61)、夫の隆(63)の両容疑者を詐欺罪で起訴した。

 

闇バイトの募集投稿やまず 道警の警告数、前年の4倍超 若者対策に課題

北海道新聞 会員限定記事

(2023年12月7日 13:02(12月13日 17:16更新)

 

道警が有害投稿に対し、Xで送った警告メッセージ。上段には闇バイトに勧誘する「即日即金」「日当15万円以上」などの言葉が並ぶ(写真を一部加工しています)=道警提供

 

 「闇バイト」と称して特殊詐欺や強盗の実行役を募る交流サイト(SNS)の投稿者に対し、道警が1~10月末に、有害情報として警告した件数が、昨年1年間の4倍を超える約800件に急増したことが、道警への取材で分かった。

全国で相次いだ広域強盗事件を受け、今春から強盗や窃盗に関する投稿を警告の対象に加えたことが要因だが、新たな投稿は止まず、安易に誘いに乗る若者も後を絶たない。

 「こちらは北海道警察です。このツイートは特殊詐欺、殺人、強盗、窃盗、傷害、暴行など、SNSで実行犯を募集する不適切な書き込みの恐れがあります」

 10月下旬、道警の担当者がX(旧ツイッター)で闇バイトに関連する書き込みを発見し、投稿者に警告文を送った。投稿には「闇バイト 高収入 即日即金」といった高額報酬をうたう文言に加え、強盗を指す「叩き」などの隠語も記載されていた。警告後、投稿は削除された。

 道警はSNS(交流サイト)での闇バイトの募集を防ぐため、2020年7月から、警告文の投稿を始めた。20年は7~12月で225件、21年は399件、22年は188件だった。

 22年までの警告は「受け子」「出し子」など、特殊詐欺に関する投稿に出していた。今年は「ルフィ」を名乗り、広域強盗を指示したとされる今村磨人容疑者(39)=札幌市出身=らが逮捕された広域強盗事件が発生し、政府は3月に全国の警察に、強盗や窃盗の闇バイトの募集投稿の早期発見と削除を指示した。

 道警も5月から警告の対象に加えた。さらに9月からは、強盗などの直接の記載がなくても、「高収入」などの高額報酬をうたう表現と、「叩き」「運び」といった犯罪実行役の募集を示唆する隠語の両方が書かれた投稿への警告も始めた。

 

 その結果、1~10月の警告数は昨年1年間の4・2倍の795件と大幅に増えた。一つの投稿で、特殊詐欺や強盗、窃盗など複数の実行役を勧誘するケースが目立つという。

 道警が警告文を送ると、8割以上の投稿やアカウントが削除されるなど、一定の抑制効果が確認されている。ただ、犯罪グループはすぐに新たなアカウントを作って投稿し、根本的な解決にはいたっていない。

 闇バイトの実行役の逮捕者は若者が目立つ。道警によると、21年~今年10月末に闇バイトの募集に応じ、詐欺や窃盗容疑で逮捕された計45人は、20代が最多の26人、10代が12人と続き、10~20代だけで8割以上を占めた。事件別では特殊詐欺が44人で、窃盗が1人だった。

 

 道警に今年、詐欺容疑で逮捕された男(25)は「特殊詐欺の仕事と分かっていたが、捕まることはないだろうと思い、バイトに応じた」と供述した。

 男は「1日で5万円稼げる」とのSNSの投稿を見つけ、記載されたメールに連絡し、匿名性の高い通信アプリ「テレグラム」で「キャッシュカードを受け取って金を引き出し、その金を届けること」と指示された。事前に自分の住所や電話番号、健康保険証と顔写真の画像を指示役に送っていたため、簡単にはやめられず、現金回収や運搬を続けたという。

 道警は「SNSや友人の誘いなど、闇バイトの入り口は身近なところにある。甘い言葉で誘われるが、若者が逮捕されるまで利用され、切り捨てられるのが現実だと認識してほしい」と呼び掛ける。(野口洸、矢野旦)