しかし、そんな穏やかな昨日とは裏腹に翌朝、頭をガツンと殴られ、慌てて目を覚ました。

 

 

私の目の前にいる人物は牛込警察署の少年課の私服警察官だった。「起きろー!」と怒鳴り始めた。いったい勝手に人の家に上がり込んで、どういうつもりだろう。文句の一つでもいってやろうと思った。

 

 

ところが、私と夏子とセシルは手錠をその場でかけられ、外には3台の車が用意されていた。

私たちは、別々の車に乗せられ、牛込警察署まで連れていかれた。父が警察に通報したのだ!

 

 

この日は大型台風が関東に上陸していて、朝から雷がガラガラ・ゴロゴロと音をたてて鳴り響き、風速もかなりあって余程注意しなければ、吹き飛ばされそうだった。

 

 

 

こんな嵐の日に警察署に送られるのは劇的でもあった。

 

 

 

 

これから何が起こるであろうか予感さえ感じてしまうほど、この日の台風は物語性をもっている気がした。