指定した場所(中学校)に出かけていくと、そこには確かに不良と呼ばれているような少女が3人地べたに座っていた。
まさに運命の出会いの瞬間でもあった。その中にいた女性の一人とその後、深く付き合って地獄の果てまでいくことになるとは、まだこの時は考えもしなかったが。
手始めに4人で、校庭でバレーボールをやる。何もしゃべらず、ただ、トスやレシーブをしてボールを地面に落とさないようにいつまでも繋げていく。その間一切言葉は発しない。
いつまで続くのか、かなりのプレッシャーのなか、ボールを落としたら、私の負けだ。どんなことがあっても、続ける。繋げていく。
どのくらい時間が経ったのかもわからなかったが、相手側のひとりがミスをして、ゲームオーバーとなった。
それがある種の挨拶がわりだったようだ。
3人のなかでは中心人物のような女性が、「私たちに何のために会いに来たの」とストレートに聞いてきた。私はここでも出任せをいうしかなく、私の知り合いの先輩がひとりの不良少女を探しているから、力になっていると。
何故、「私は不良・ヤンキーになりたいので、その方法を教えて下さい」と言えないのか!意地でもそんなことはいえるものか! そんなことをいえば、そこで主従関係が出来上がってしまう。そんなのは嫌だった。ひとりの人間として、一から不良・ヤンキーになって行きたかったからだ。
私たちは、なんとか知り合いにはなれたようだった。
それから、私は毎日のように学校が終わると彼女たちの待つ中学校に行き、楽しくバレーボールをするという日々を送っていくようになった。