蜷川さんの訃報が届く。
初めては「真情あふるる軽薄さ2001」だった。コクーンの後ろ扉を開けて、表の景色がそのまま見えたり、客席をも巻き込む壮大な演出だった。
ホンに「怖い」と言うイメージだったけど、

「バカビックリマーク変態っビックリマーク

と怒りながら、大笑いしていた。

シェイクスピア。
ハムレットにらっきょちゃんと呼ばれた。シェイクスピアの戯曲、稽古場でオロオロしていたら2人呼ばれて

「お前たちの役目は、役者には出せ無いノイズで、この戯曲を太らせてくれよ、稽古場で、俺を笑わせるとか、怒らせるとか、それがお前らの役目だから」

それを聞いてホッとしたのを覚えている。

「どうせ芝居ができるとは思って無いから(笑)」

あ、なるほど…。

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「ハムレットより」

タイタスアンドロニカス。
ハムレットの「船乗り」が不完全燃焼で、それを見かねた蜷川さんが「タイタス」の「道化」をやらせてくれた。
自分のアイディアで蜷川さんを大笑いさせ、そのネタが本番にも採用された。ホンに嬉しかった。

マジ怒られ。
実はあんまり怒られた事はなかったんだけど、鋼太郎さんと調子に乗ってアドリブかましてたら、蜷川さんの逆鱗に触れてしまい、その後顔をあわせるのも怖かった。

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「さい芸に貼られた注意書き」

ロミオとジュリエット。
「召使い」この時の印象に残るダメ出しが

「動きが小者すぎビックリマーク

稽古場大爆笑(笑)

天保十二年のシェイクスピア。
蜷川さん70歳のお祭り公演。再々演。蜷川さんの舞台の主役がオールキャストだったからね。井上ひさし先生が、コクーンに7回くらい見に来てた。初日の打ち上げで

「やっとこの芝居の初日を見た気がします」

これは嬉しかったなぁ。

タイタスアンドロニカス 再演
岡本健一君がやった「エアロン」を小栗旬が。この座組で「シェイクスピアフェスティバル」に参加。イギリスへ。

まさか「ロイヤル・シェイクスピア・シアター」に立てるとは思ってもいなかったよね。嬉しかった~。

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「オイラが撮ってるから、映ってない(泣)」

「恥ずかしいから早く撮れビックリマーク

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「かっこいいよね」

結局この舞台を最後に、糖尿が悪化して舞台には参加できなくなった。たまに稽古場に顔を出すと

「早く治して現場に帰っておいで」

そう言ってくれた。

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「渋谷の稽古場かな…」

さいたま芸術劇場。

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この写真が最後になってしまった。

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怖いと思っていた蜷川さんはとっても気さくな人で、面白い事が大好き。その蜷川さんが気に入ってる写真が

「世界の蜷川 町内の偽川」

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「似てるんだよ(笑)」

「井手、なんだその格好はビックリマーク

「演出家です」

「バカ、変態っビックリマーク

そう言って大笑いしていた。
もっと怒られたかったなぁ。

ご冥福をお祈りいたします。