急がしそうに働く彩世ちゃんを、柱の影からそっと見つめ(星明子か!)マックを後にする。折角車で来たし、夕飯の食材でも買って帰ろう。鍋横の「丸正」へ。
エコノミ焼きの(まだやってるの?)具材を買い、袋に入れていざベースへ。まだ、彩世ちゃんに会えた嬉しさでヘラヘラしてたね。

ベースに着き、車を降りようとしてリュックのサイドポケットを見ると、サイフが入っていない。あ、買い物袋に入れたまんまだ。…袋にも入っていなかった。ちょっと焦り出す。シートの下、ポケットと言うポケット、全部調べた。

「サイフ落とした」

貧乏故、厳しい家
貧乏ったれの家だったからね、物を壊したり無くしたりすると、殴られる勢いで怒られた。無くしたからって、すぐに買ってもらえる様な家じゃなかったからね、おかげで、他の人よりは物を無くしたりするのは極端に少なかった様な気がする。それでも今回やっちまった…。

直ぐ「丸正」に電話をしてみた。レジでお金を払うまでは間違いなく有ったわけだし、落としたとしたら、その後だ。事務の人が色々聞いてみてるみたいだけど、どうやら届けは無いそうだ。いよいよ焦る。免許証・銀行のカード・支払先のメモ…。何から手をつけていいか分からず、取りあえず免許の事もあるし、中野警察に電話をした。

「あの…サイフを落としまして、鍋横の丸正の辺りなんですが…」

「お名前は?」

「はい…◯×△♡です」

「あ、届いてますよ!」

「えっ!」

「今、交番に有るので、もう少ししたらこちらに届きますが…」

「はい、直ぐ…取りに伺います!」

有った!どうやら拾ってくれた人が交番に届けてくれたらしい!中野に取って返す!実はこのサイフ落とすの2回目なんだけど、2度とも戻ってきた!1度目は交番で紛失届けを書いている時に「サイフ拾いました」と拾い主が現れたもんな!

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「よかった…」

警察で聞いた拾い主の方に、お礼の連絡をする。拾った方によると、丸正の近くの小さな交差点の真ん中に落ちていたそうだ。現金こそ無くなっていたけど、免許・カードは全部無事!

「よくお見かけしてましたよ~!」

わ、正体バレてる(笑)お恥ずかしゅう!今度中野行ったら、改めてお礼いたします!ホンにありがとうございました!感謝してもしきれません!

人の情けが身にしみる、そんな初冬の夕暮れでした…。


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